成功の条件 2 木村天山
自分が何をし、何を求めてきたのか。
これが、成功へのアプローチの最初である。
つまり、成功するためには、自分を知ることだ。自分の傾向を知らなければ、対策も立てられない。今までの成功哲学なるものは、思考は実現化すると教えるが、その思考が空念仏であることに気づかないで、いくら、思考しても、事は成らない。
思考が単なる願い、単なる想像、単なる夢である。
ひまわりは、ひまわりの花を咲かせる。ひまわりにバラの花は咲かない。それを咲かせようとするのが、願いは叶うなどと言う、成功哲学の本体だった。
どうして自分の資質や、自分の傾向、体質を知らないで、願うだけで、叶うということを教えるのか。商売だからである。
成功哲学なるものを教えて、商売するから、出来る限り、多くの人が簡単に手に入るように指導しようとする。
思考は実現化するのは、実現化出来るだけの能力と、体質があるからであり、それがない者が、いくら、思考をして願っても叶う訳がない。
当たり前のことである。しかし、この当たり前のことに気づかない程、人は、現実を知らないということである。
運を努力で変えられると思っている人も、同じである。
努力しても変えられないから、多くの人が苦労したのである。
どうしてか。
それは自分を知らないからである。
オタマジャクシは、蛙になる。決して、ドジョウにはならない。
しかし、今までの成功哲学は、オタマジャクシでも、ドジョウになれると教える。
奇跡は起こると言う。キリストは、一粒の信仰さえあれば、山をも動かすと言ったが、まだ山を動かす程の信仰家はいない。
自分を知るための方法は、過去を辿ることである。
どのような環境で、どのように育ってきたのか。そして、何を学び、何を考えてきたのか。そして、何に成りたかったのか。
一冊の、ノートを用意する。そこに、逆算して過去を辿ることである。
昨年の自分を思いだし、次に、その前の年と。
余白を十分に取り、過去を振り返る。思い出せないことが多々ある。しかし、それを繰り返してすれば、思い出す。そうしたら、余白に書き入れる。
自分のことが大切であると思っていても、自分の過去は、中々、思い出せないものである。
自分に取っての事件から、喜怒哀楽の様を思い出すのである。
過去を辿る日記を書く。そうして、自分を理解すること。それが成功するための、第一歩である。その過去に、多くの宝石のような、ヒントが隠されてある。
過去を辿る根気のない人は、当然、成功するはずがない。精々、理解しやすい成功哲学なる、空念仏を唱えて、日々を過ごすことである。そのうちに死んでしまう。夢だけを見て、死んでしまうのである。
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