木村天山によるメールマガジン 21世紀の成功哲学 バックナンバー 成功の条件 No10 

 成功哲学10

 イメージトレーニングが非常に効果のあることは、スポーツの世界で実証済みである。それは、潜在意識にイメージを植え付けるということで、いかに潜在意識が有効であるかということだ。つまり、すべては潜在意識によって成ると言うことで、黙って座っていても、潜在意識に強く事を働きかけると、実際的行動と同じだということである。これは、画期的な気づきである。

 潜在意識を心の一部分とすると、心が、すべてを決めるということになる。

 本当に心が望んだ時に、事が動くと言える。だが、そこで、即座に心の想いが、現実化するかというと、心は、もっと深く思考しているので、その時がくるまで、待つ。その待つことに耐えられる人が、成功すると言える。

 人生は待つことに耐えられるか否かにかかっている。待つという心の状態は、人間が持つところの、極めて崇高な行為である。

 待つことで得られる思索を思想と言う。我が内なる思想が生まれる種が、待つということになる。

 スポーツのイメージトレーニングは、そのスポーツのカラクリにある。私が言う人生の成功のためには、そのイメージを言葉というものに昇華させるという方法である。

 言葉の力は、人間だけに及ぼすものではない。ある大阪の小学校で、子供たちと実験をした先生がいる。みんなで、二つの鉢に、大根を植えた。そして、一つの大根に、マイナスイメージの言葉を、もう一つの大根に、マイナスイメージの言葉を毎日掛けた。すると、プラスの方は、葉がふさふさと大きく育ったが、もう一つのマイナスの方は、土まで腐ったという。言葉の力の見事な実験である。

 自分自身に語りかける言葉が、いかに重大であるかということ。そして、他人に対しても、同じであるということ。ここで、他人対しての言葉遣いが、私に戻ってくるというカラクリがある。発した言葉は、いずれ私に戻ってくるのである。

 つまり、成功する人は、他人をも成功させる人なのである。これが、重要な潜在意識のカラクリである。

 潜在意識は、ある部分から他者につながっていると考えることである。

 簡単に説明すると、多くの人が、私のことを好意的に想ってくれるだけで、私が成功することが早くなるということである。単純なカラクリである。

 また、私が人の成功を想えば、それは私にも返ってくるのである。

 日本人は場の空気というものに敏感な民族である。その場の空気とは、潜在意識のことである。心模様が場の空気となる。

 松尾芭蕉は、松のことは松に、竹のことは竹に聞けと言った。それは、松や竹に通じている潜在意識のことを言ったのである。

 ユングは、民族意識なるものを考案したが、それは民族に留まらず、宇宙自然と結び付いている意識のことである。

 成功するとは、その意識に目覚める。目覚めなくても、そういう意識があるということを知ることなのである。だから、私は既成の成功哲学の方法に、疑問を持つのである。

 それは、個としての成功であり、個の充実である。そんなことは、あり得ない。他と孤立して、個の成功を奨励する成功哲学なるものの、浅はかさである。

 カーネーギーや松下幸之助の成功が、個のものだったのか。違う。彼らは、個を超えて他者に向かったからの大成功だったのである。

 カーネーギーが「人を動かす」という本を書いたのは、成功は、個のみではあり得ない。他者との関係によって成り立つものであることを言うのだ。

 私が言いたいことは、私の成功は、私のみを成功させるものではないということである。 私に縁する人が成功することは、私の成功をも内包しているという考え方である。

 ここに、私が言う成功哲学の粋がある。意気と言ってもよい。

 人の心と結び付いている潜在意識のカラクリを知ることで、成功するということが、何であるかということを、理解出来るのである。

 それが、大金を得ることであろうか。自己実現を一人で成して、喜ぶべきことか。自分のみ、他と抜きん出て成功者になることか。それは嘘である。ただ、私は平等主義を言うのではない。人には、限りない差がある。多種多様である。誤解されては困る。