木村天山  日々徒然 バックナンバー  

 日々徒然46

 日本を誉める人が少ないので、というより、公に誉める言葉を聞いたことが無いので、私が言うことにする。

 今年、4月13日、タイのバンコクで地下鉄の試運転が行われた。悪名高いバンコクの交通渋滞を解消するための手段として期待されている。

 総工費は、2851億8千万円である。1996年から工事が始められていた。

 驚くべきは、この総工費の78パーセントを日本政府が供与したのである。2224億円である。他国の地下鉄に、これ程の金額を供与するという日本である。

 膨大な借金を抱えている日本がである。しかし、驚くに当たらない。多々日本は、世界的に金銭を供与しているのである。膨大な金額である。それを、国民も、他国民も知らないことの方が多い。

 これ程の、お人よしがいるであろうかと思う程の、他国に対する金銭の供与である。

 銀行の破綻処理に何億も税金をつぎ込むなども、他国では考えられないことをする日本。それでいて、平和であり、物も豊富である。食料の自給率が40パーセントにも満たない状態であるのに、ぼんやりとして、輸入に頼り、国民は、年金に不安を覚えて老後を心配するという図は、何と平和であろう。世界の八割の人は、今日の食べ物を心配しているのである。

 私は、日本を誉める。

 自分の滅びることを知らずに、税金を無駄に湯水のごとく使う神経と、他国に援助して供与するという神経にである。そして、国民は平和である。

 イラクでは、アメリカの攻撃で、ファルージャでは600人が殺された。それの返しで、アメリカ人の民間人も殺されている。また、その返しで、アメリカ軍は攻撃し、イラク人を殺すだろう。

 そんな世界とは無縁である、日本は。日本人の人質も捕られたが、実際的に事が起きてから、ようやく少しは、日本人も危機感を募らせるだろう。人質の彼らは、自己責任という重荷を負っている。危険な国に行くという自覚を持って行動したはずである。何があっても、それをよしとする心構えがあるだろうと想像する。(人質は解放された)

 それでも人の命は地球より思いと、空回りの情報を得ている日本の外交の様は、お人よしの分である。

 何と日本は、赤子のようかと私は誉める。

 世界という海千山千の戦いを好む宗教等々の皆々様を、日本は真摯に受け入れて、守ってくれるアメリカに従い、果ては金銭を出し、冷や汗もかかずに平然としていられる様は、誉めるに値する。

 こんな民族は、今までいなかったであろう。歴史を振り返ってみても、これ程、見事におめでたい民族はいない。

 このまま、おめでたさを貫いて欲しいと思う。

 何せ、私が絶賛する平和憲法を持っている唯一の国である。その後、カンボジアも日本にならって、平和憲法を持ったのだが、日本の様には適わない。

 平和憲法を持って、平和ボケしている様は、まさに幸せである。決して、この憲法を改正してはいけない。愚か者どもが改正を叫んでいるが、平和憲法のない日本は、日本ではなくなる。武器を持たず、他国には、湯水の如く金銭を供与し、自国でも湯水の如く金銭を垂れ流す。気の遠くなるような借金も何のその、金の木を持っているような振る舞いである。これを誉めずにいられようか。

 アンポンタンも、度を越すと見事なものになる。これ程、徹底した国は、世界広しと言えども、どこにもないであろう。いや、ないのである。