みたび日々徒然 54

木村天山    

 32歳の、年収何百億を上げるライブドアの社長が、金で買えない物など、あるわけがないと言う。頭も良くて、ストレートで東大に合格したという。

 たかが、情報を売り買いしている者が、何をか言わんやである。

 彼が、ある主の天才であることを認めるが、それ以外の何者でもない。

 彼には、恨みも辛みもないので、関係ないのであるが、金で買えない物など、あるわけがないと言う言葉には、あまりに傲慢不遜であり、ある主の狂気すら感じて言うことにする。

 この世は金で買えない物ばかりである。

 人生は創意工夫である。彼には、それがない。仕事で創意工夫を演じているようだが、何も創造していない。金儲けのアイディアだけには、冴えているということである。金儲けの才能があると言う。ただそれだけである。

 この世には、神も悪魔もいる。混在する世の中である。金は、魔物が支配する。だから、金は、目的に出来ない。金は手段である。

 金を万能と考えているということだけでも、魔物に見入られたとみるしかない。

 この世の価値が金で計られるということ自体、魔物に支配されていると言うことが出来る。魔物は、非常に強力な力を持つから、彼のような強力な人間が現れる。

 新興成り金といった感じである。

 非常に明晰な考え方を持つようだが、この世は数学では割り切れないものがある。それを知らない。最も、微妙で曖昧なものに対しての感性が皆無であろう。彼には不幸も幸福も無い。ただ、狂気の明晰な頭脳が支配するだけである。

 みるところ、益々繁盛するであろう。そして、彼の思想を信奉する者が、大勢現れる。そこに救いがある如く。また、金がある者に世の中は優しいから、彼の思想は狂気であるが、通るであろう。

 だが、私は言う。金で買えない物が多い事実を。金で買えない物の多くを見る人が、人生を観ることが出来る。

 頭脳明晰であることが、大事でないことがよく解る。頭脳だけに支配されるという悲劇を観るのである。

 物事を明晰に見て、余計な事を切ってしまうのであろうが、その余計なことに、人生の秘密があるということも事実である。

 金で買えない物など、あるわけがないと言う彼には、そういう人間しか集う事が無いであろう。彼の論理に合う者しか、彼の回りに集うことがない。

 つまり、彼の求める世界は、彼が独裁者であることを容認する世界しか現れないということである。そして、金が支配する世の中であるから、尊敬を受け称賛されるであろう。

 私は言う。精々百年にも満たない人生で、不毛のことをやっている、それだけだということ。この世の富をすべて得ても、得られないものがあることを知らない不幸を、知ることがないであろう。

追伸)彼は、自己の資金を集めて隠し財産を作っていた。結局、金金金で、ついに法で裁かれる身になったのは、承知の事実。

 それは魔界の魔神に対して礼を忘れたからだ。

 

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