みたび日々徒然 87
木村天山
05年4月30日までに、米国の法医学専門家からなる国際調査団が、イラク南部サマワの集団墓地でクルド人とみられる遺体約100体を発掘した。発掘された遺体は、一部に過ぎず、埋葬されている遺体は、1500体に上るという。
これは、80年代にフセイン政権に集団処刑された人達である。遺体は、女性や子供が多く、乳幼児もいた。クルド人を示す身分証明書や、民族衣装が多数発掘されという。
遺体の多くは、集団移住を口実に移動させられて、同地で処刑されたものである。
暫定政権の人権相だったクルド人のアミン氏によれば、クルド人虐殺で50万人、18万2千人が、行方不明だという。
英国のBBC放送は、同様の埋葬地がイラク全土に330箇所あると伝える。
独裁政権の闇が暴かれる。
これを冷静に判断したい。
他民族を排除するというのは、何もフセイン政権のみではない。有史以来、白人は、そうしてきた。白人以外は、人間ではないから、平気で、アフリカの黒人を奴隷として売り買いしていた。そして、そこにキリスト教という、絶対的権威が加担して、とんでもない残虐極まりない行為を繰り返していた。
中世の十字軍などは、異端であるイスラムへの攻撃であり、それは正しい戦いであった。ローマ法王は、彼らを祝福し、イスラムを叩き潰すべく激励した。
他民族や他宗教は異端であり、それは滅ぼしても良いものである。そこに神という、どんでもない観念の思想が援助するから、手が付けられない。
その歴史を見つめなければ、一つの民族を虐殺するとうことは、理解出来ない。
白人は神に許され、神に選ばれた者であるという妄想が起こした、痛ましい歴史である。 イラクのフセインもそれを受け継いでいた。
民族浄化などという、耳触りの良い言葉に、他民族を虐殺するという、仰天する思想である。
有史以来、日本には渡来人が多く来た。そして彼らは、政の中心になって働いた者も多い。日本人は、他国人、他民族に対して、いかに寛容を持って受け入れ、日本人と同じように接してきたか。驚くべき、受容性である。
まして相手の思想を貴び、敬い、彼らの拝む神をも認めていた。
日本がいかに平和的な民族であるのが解る事実が多い。
一時戦国時代という時期、武士は殺し合いをして、国取り合戦を演じたが、結局、それは長く続かずに、終結した。そこには、他民族が理解出来ない、武士の情けがあったりと、全く心持ちが違う考え方をした。
国土の違いではない。人間の出来の違いである。
今、アメリカは、世界の警察を任じているが、元は、アメリカ大陸を侵略した、とんでもない国家である。土着のインデアンを虐殺して、成り立った国である。
白人優位の考え方は、今も変わらない。それだけ、因縁が深いのである、白人は。そして、キリスト教、イスラム教、それらを生んだユダヤ教共々に、非寛容で排他的である。 問題は、もっと根本的なところにある。
民族の大量虐殺という行為にある、根本的な考え方を正す以外にない。それが出来る国が、日本である。アメリカが警察を任じるなら、日本は裁判官を任じて良い国である。