時事放談 34 2006/9/28
木村天山
9月12日、世界自然保護基金が、すしネタとして人気の高い、クロマグロの地中海周辺での乱獲が続いているとして、欧州連合に対して、繁殖期の禁漁などの対策を講じるよう要請したとある。
このままでは、絶滅も遠くないという。
クロマグロは、トロ、赤身の寿司ネタとなり、最大消費国は、日本である。欧州の寿司ブームもあり需要が欧州全体に広がっているという。
ここで思い出したことがある。
タイやインドネシア、インドでの、エビの養殖である。その地のマングローブを生けすに改良してエビを養殖するというものだ。日本は、エビだけではなく、その炭も輸入している。
タイでは過去30年の間に、87%が破壊され、インドでは85%である。勿論、最大消費国は日本である。
日本の飽食の裏では、他の国の自然を破壊して成り立っているということを言う。
日本の傲慢は、あの米不足の時に表れた。
タイ米を輸入したせいで、国際市場で米が高騰した。それにより。マダガスカルなどの貧しい国の人々が米を買えないゆえに、イモの一種であるキャッサバを食べていたと。その頃の、日本人は、日本米とタイ米をセットで買わなければいけなく、タイ米を捨てていた者もいる。
遠い記憶だが、日本のペットフードのために、東南アジアの貧しい人々が、魚を食べることが出来なくなったという時もある。
金に物言わせるという日本を、他の国の、特に貧しい国の人は、どう見るのであろうか。
しかし、反省も内省もないであろう。
他の国のことなど、どうでもいいと思う。また、それならば金を儲けろと言うであろう。そして日本のようになれと、も。
日本が、金持ちになれたのは、アメリカのお陰であるとは、誰も言わない。大戦で負けた時に、日本という国を分散して、皆で分けることが出来た。それをしなかったのは、アメリカのお陰である。
ロシアなどは、北海道を取るつもりだった。
原爆を落とされて、なお、国の存続を許されて、今に至っている。そして、アメリカが教育したように、日本人は、素直に教育を受けた通りに、スポーツとセックスを礼讚して、今日まできた。
伝統を捨てて、今日まできた。
因果応報、自業自得は、この世の法則である。それは宇宙の法則でもある。何も、仏教だけのものではない。
それでは、どう考え、行動するか。
マグロを食べない。エビを食べなければよい。他に多くの食べ物がある。それを食べるといい。簡単なことである。
替わりになるものは、いくらでもある。
ただ、良い話もある。
日本から、タイ、フィリピン、ミャンマー、ベトナムにボランティアが乗り込んで、マングローブの植林を進めている。
タイ・マングローブ植林実行委員会によって、10年間の活動をまとめた、「100万本の森ー笑顔がささえた十年、千人、100万本」という本が、北星堂書店から発行されている。
結局、心あるボランティア活動によって、少しは、日本のイメージが改善していると思うと、彼らに感謝の思いが湧く。
今一度、食生活を見直したいと思うのである。