時事放談66 2006/11/8
木村天山
福島県知事佐藤栄佐久が、ダム工事受注便宜により、高値で土地を売却し9億7000万円の収賄容疑で逮捕された。
18年に渡り知事を務めた。クリーンなイメージでの県政を行ったというが、結果は、これである。
最も悪質なのは、自分が手を下す事なく、談合を取り仕切っていた実弟を使い、事に及んだという。
詳しいことは、新聞でも、これから週刊誌等でも書かれるであろ。
私は、このクリーンなイメージということを言う。イメージで騙されるということである。県民は、クリーンだと信じて、騙され続けたのである。
そして、今、他の場所でもそれが行われているということである。
この知事も、何事も表ざたにならなければ、知事を務めていたはすである。発覚しなければ、死んでからも、クリーンな知事として信じられたのである。
だから、私は言う。信じる者は、騙されるのである。
すると、それは政治だけに言えることではない。
あらゆることにおいて言える。
マスコミでは、ここまでに至った過程を報告し、識者やコメンテーターが、憤慨して、こんなことを云々と言って終わる。いい気なものである。
その地位に就いて、誰もそれをしないとは言えない。その立場を得られない者が、批判し非難し、憤慨する。ただ、それだけである。
気の毒なのは、福島県民である。そしてそこまでは誰もが言う。私は言う。要するに、福島県民はアホなのであると。騙されていたことに気づかない、終わって、まーあひどいことをと言っても、すでに終わっている。これをアホと言う。
イメージで政治家を選ぶというのは、選挙民の特徴である。人気投票が選挙なのである。後は、組織票である。
無党派層と言うが、何のことはない、単なる気取りである。信じて騙されるのがオチであろう。
こうして、信じる者は、騙されて終わる。
甚だしいのは、信じて騙されて、裏切られたという者である。信じた我が身が馬鹿なのであるが、騙されたと憤慨するという。自分を愚かであると思わず、相手を責める。
ああまでくれば、後は、法で裁かれるのであるから、彼の知事のことは、もういい。
落ちた犬を叩いても、後の祭りである。
それより、騙されないようにするには、どうすれば良いかである。
実は、騙されない方法というものは無い。政治に関して言えば、権力の座にある期間を設けることである。権力は腐敗する。だから、権力の座にある時期を限定するのである。二期8年で終わりにする。それ以外の方法は無い。
人間は過ちを犯すものである。絶対ということは無い。事件に憤慨する者も、その立場にあれば、同じことをしないとは、言えない。
誰もがする可能性がある。だから、限定するのである。
権威は腐敗しないが、権力は腐敗する。
そしてイメージは信じない方が良い。特に、政治家に関しては。
イメージだけで、政治家を続けている者がいる。役立たずの、救いようのない者である。しかし、本人も、その支援者も気づかない。