時事放談72 2006/11/23

木村天山


 ゲイでも有名な、槙原という歌手が作った歌が、戦艦ヤマトを描いた、なんとかというマンガ家に、盗作だと指摘されていると、安食堂のテレビで見た。

 時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切らないというような、内容である。

 そんなに素晴らしい言葉であれば、誰が使用しても構わないと思うが、マンガ家は、盗作だと言うらしい。

 

 そんなことを言っていたら、多くが盗作になるだろうと、私は思う。

 論文一ページも、同じ言葉であれば、盗作であろうかと思うが、ワンフレーズである。愚かしいの一言である。

 しかし大衆は、皆、ウソの言葉に弱いものであると思った。

 明らかに、上記の言葉はウソである。

 時間は夢を裏切るし、夢も時間を裏切る。

 そういえば、その歌手の作った、世界に一つだけの花という歌もウソである。

 奇妙な言葉であった。

 ナンバーワンではなく、オンリーワンでいいと言う。

 初めから努力を放棄していいと受け取られる言葉である。スマップに歌わせて、ヒットさせた。ナンバーワンを目指していて、オンリーワンに気づくというならば、理解するが、初めからオンリーワンでいいとは、耳触りの良い言葉で、大衆が実に良く感動する言葉である。新興宗教も、このような耳触りの良い言葉を言う。

 

 実に、大衆は愚かである。

 あれを聞いて、納得して、前向きに生きようと思ったであろうか。実に、アホである。

 芸人が、そんなことを思えば、そこで終わりである。危機意識皆無の者が、ああいう歌を好むのである。

 そうして大衆は、操作される。操作されているということに気づかない者多数である。 

 ついでに言う。そのテレビで、芸能人の結婚、離婚の話題を追求する。

 どうでもいいことだが、テレビが話題にするということは、大衆が好むということだろう。実に、大衆はアホである。

 誰と誰が、結婚、離婚する等々と、よくもあんなものを見てられる。

 一人は、歌舞伎役者の某氏である。歌舞伎役者も、有名人になるのである。御家芸を披露してなんぼの者が、テレビに登場するという、愚劣である。

 

 食べ終えたので、私は即座に安食堂を出る。

 見たくなくても、テレビが点けてある。

 テレビを不必要だとは思わないが、あれを真剣に見ていれば、思考力低下を招き、危機意識皆無になる。そして、マスコミに飼い馴らされて、マスコミと一緒に、感動し、憤慨して、一日が終わる。虚無の人生である。

 一歩も、何事か、我が身のためにせず、ただテレビの情報を受け入れて、本日も終了するとしたら、私は、ぞっとして、ぐっとして、死ぬだろう。

 何の成果も生まない。バーチャルのみのテレビに飼い馴らされている図は、哀れを通り越して、言うべき言葉が無い。

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