時事放談83  2006/12/15

木村天山


 企業減税が必要であることは認める。他国に対応するためにも必要だろう。

 しかし、一般国民は、増税増税、また増税である。釈然としない。

 企業減税で、従業員の給与が上がる。すると購買率が上がる。景気に影響すると言う。それでも釈然としない。

 

 厚生労働省が、年間数億年程度の保護費削減効果を見込んで、リバースモーゲージ制度を、07年から実施するために制度案を固めたと言う。

 自分たちの無駄遣いは、積極的に削減しないが、一般国民にかかるものは、削減を考えるという根性である。

 それは、老後資金に、不動産担保を使うというものである。

 対象は65歳以上で、この制度を使わなければ生活保護が必要になる年齢である。

 確かに、高齢者を扶養しない親戚が、死後に遺産相続するというのは、おかしい。それならば、有効に生かすということであろう。それは解る。

 しかし、一般国民からは、根こそぎ取るという方針であろう。徳川家康の農民に対する「生かさず殺さず」の傲慢な思想と同じである。

 島原天草の乱は、キリシタン一揆ではない。あれは農民一揆だった。

 兎に角、何でも税にして取るという為政者に苦しめられた農民の一揆である。それをキリシタン弾圧の理由に使った。

 一揆とは、今で言えば、クーデターであろう。クーデターが起きないと信じているのである、政治家は。

 これ程、公務員から政治家まで、国民から掠め取るという事態に、国民は、静かに呻吟しているのである。

 不思議だ。

 

 これは、マスコミのお陰であろう。思考力を失わせて、自在に操るという、巧みな心理作戦である。テレビを見ていれば、すべてが解るという錯覚を起こさせて、思惟する力を奪う。誰の策略であろうか。

 何が危機であるかを知らない人は、危機を知らない。思考力があることさえ忘れた。

 飼われているのである。街には餌のような食べ物が溢れて、片方では健康志向を推奨する。年間3トンもの添加物を食べさせ、平気でいる。

 命が食べ物であることを知らず、食べ物を粗末にする。

 何から何まで、おかしい。それに気づかないことが、またおかしい。

 思考が分散して、集中できないのであろう。

 宝くじで億万長者にと言われて、宝くじを買う。あの膨大な資金が、どこに使われているのか知らずにである。三億円など、物の数ではない者共がいて、掠め取るという事態に気づかずにいる。幸せであろう。それを幸せという。

 知らぬが花。

TOP