時事放談90   2006/12/27

木村天山

 11月23日に起きた、イラク、バクダット東部イスラム教シーア派指導者サドル師派の拠点、ザトルシティーで起きた連続テロから、事実上、内戦状態に陥った。

 米国に対する恨みを背景に、シーア派とスンニ派の対立激化である。

 シーア派にはイランが、スンニ派にはシリアが裏に着く。イランとシリアとの対話を検討した米国に対する思惑を打ち砕くべく、テロリストが、両派の憎悪を煽る。

 平和を願わない者共の、思惑が世界を戦争へと駆り立てる。

 

 ただ今、イラクの政権に参画しているのは、シーア派とスンニ派、そしてクルド人である。フセイン政権の時に、大量殺害されたクルド人は、漸く、真っ当に政権に参画したと思いきや、内戦である。

 憎悪を引き出して、さらに憎悪を駆り立てる働きは、何を言うのであろうか。

 妥協しないイスラム教という性格の上にある、それぞれの支配欲である。

 米国は、イラクに民主化を想像した。しかし、そんなことが有り得るはずがない。

 その根本には、キリスト教とイスラム教の対立がある。キリスト教国の民主化を、イスラム教国の地に設定しても無理であると、理解出来ないのが、おかしい。

 

 同じ色に染めるという傲慢が、このような事態を引き起こしている。やるならば、徹底的に、植民地化してしまわなければならないのである。

 大陸の歴史を見ればよい。

 民族を滅ぼす時、その地の神を破壊して、自分たちの神を立てるのである。それが、大陸の考え方である。何を理想を抱くのだろうか。

 人類が進化していると勘違いしているのである。

 または、植民地化することで、世界を混乱に巻き込むことを恐れている。

 テロリストの温存する国を、理屈や理想で、手なずけることなど出来ない。

 

 結果的に、キリスト教とイスラム教の対立である。

 歴史的恩讐である。

 しかし、不思議なことは、同じ宗教の派閥で内戦にまで至るということである。何もイスラム教だけではない。北アイルランドは、カトリックとプロテスタントの戦いである。 インドネシアでは、矢張り、キリスト教とイスラム教の対立で、一つの島が内戦状態になることもあった。

 

 日本にも、宗教対立があった。念仏宗と題目宗である。

 それ以前は無い。蘇我氏と物部氏の争いは、仏教と神道の対立ではなく、氏族争いに、宗教を絡めたもので、宗教対立ではない。

 要するに、思想、教義の違いに、対立するのである。その本体は、妄想であるのだが。

 実に、愚かしい。

 思想、教義の対立で、戦争をしてもいいのだと、考える宗教というものを、よくよく吟味すべきである。

 世界広しといえども、対立概念を持たないのは、仏陀の仏教と、神道のみである。

 仏教で、対立概念を持つ宗派は、仏教でも仏法でもない。日本に仏教が無い所以である。 

 旧約聖書、新約聖書を奉ずるユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、明確に敵を想定する対立概念を持つ。宗教の定義が、彼らにあるならば、宗教とは、対立概念、敵を想定するものであるといえる。しかし、仏教と神道は、それが無い。つまり、彼らに言わせれば、宗教では無いということになる。

 仏教は、イスラムによって壊滅させられた。あの平和の思想は、持続しなかった。慈悲の思想など、彼らには無いのである。勿論、キリスト教の言う愛の思想も無い。主イエスの愛の思想は、権威と権力を持たない人々の間でしか成就しなかった。ローマカトリックは、権力と権威を身につけて、世俗にまみれた。あの教会には、愛の思想などない。それを実践したのは、権力も権威も無い、ただの信者である。

 

 さて対立するのは、宗教だけではない。人種である。黒人は白人支配により、唯一学んだことは、争いである。アフリカの国々の様を見れば解る。黄色人種もまた、白人支配と、白人崇拝により、争いを学んだ。

 そうすると、私も白人を攻撃しているように見られるが、実際、白人は世界を支配してきたのである。その方法は戦争である。

 それでは日本も戦争したではないかと言うだろう。アジアの国々を一時植民地化したと。ヨーロッパの国々の植民地化を言わないが、日本の植民地化は、日本人まで攻撃して言う。一時期、ローマカトリックと同じように、日本も、そのようにした。

 秀吉の時期に、朝鮮半島を植民地化していれば、問題なかったのである。日本は、遅ればせながらに行動した。そして悲劇の原爆を受ける。

 日本は、神界のある国であるから、過ちは、直ちに正される。原爆を受ける行為をしたのである。その教訓から、平和を希求した。それが平和憲法である。しかし、それを米国からの強制と考える人がいる。

 憲法は米国からのものであると。だから憲法改正というのは、実に、愚かである。例えば、米国からのものであっにしても、平和憲法は世界の人の願いである。それを有したということに意味がある。

 日本の先祖の願いと祈りが、平和憲法を希求したのである。

 確かに、米国の作戦は当たった。日本人は、腑抜けになったのである。ただし、経済で米国を驚かせた。

 周恩来は、日本は信じられない国であると言った。一日で思想を変えると。米国が見張っていなければ、何をするのか知れたものではないと。

 日本人は島国根性を持つと言うが、これ程、臨機応変に行動出来る民族はいない。日本の文明だけは、他に真似の出来ないものである。

 時代は、文明の時代に入る。

 国境の時代ではない。

 日本は、独自の文明を持つ国であり、色分けされると、日本文明圏になる。

 

 キリスト教文明圏、イスラム教文明圏、アフリカ文明圏等々、その中に、日本文明圏が入る。

 さて、疲れてきたので、次回に譲り、以下省略する。

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