時事放談92   2006/12/31

木村天山

 タイ・チェンマイ滞在記その2

 翌日、私はホテルのレストランの前に座り、道行く人や車を眺めつつ、朝食を取った。着物姿に、ウエイトレスが嬉しそうに声を掛ける。片言の英語で話す。楽しい。

 今日から、タイマッサージを回る予定である。兎に角、毎日マッサージを受ける予定である。タイマッサージを会得するために受けるのである。

 マッサージ習得のためのコースもあるが、私には資格はいらない。それよりも、受けることが一番である。受けることで、学ぶことが最善の方法なのである。日本人で、マッサージを学ぶために訪れている人も多々いた。

 至るところにあるマッサージ店を物色して、その中から選ぶ楽しみもある。

 タイマッサージは、一時間200バーツ前後が相場である。700円程度であるから、日本と比べると、本当に安い。が、地元の人だと、100バーツ程度である。夜店のマッサージだと、道端でする。それなら120バーツ程度でする。兎に角、マッサージ店が多いのだ。

 食事をすること、マッサージをするだけで、チェンマイの姿が伺える。

 食事は、出来る限り、タイ料理を食べることにしていた。昼食もタイ料理を食べることにする。ところがである。昼食までは良かった。一時間のタイマッサージを受けて、ホテルで休み、ホテル周辺をぶらぶらと歩き、少し街に慣れる。そして夕食である。

 ここで私は、安心し過ぎて、シーフードサラダを注文した。タイの焼き飯と共にである。そのサラダが翌日、てきめんに効いた。次のホテルの予約をするために、出掛けて、ホテルが無いため、200バーツのゲストハウスを見つけて、ホテルに戻る途中から、寒気がする。風邪かと思い、ホテルに帰り、葛根湯を飲むが、吐き気もする。

 そのうちに、下痢が始まった。寒気と、吐き気と下痢、つまり食中毒の様である。ベッドに寝る。そのうちに、起きるのも大変になった。

 実は、同行のコウタ君は、明日からタイ北部の街に行くことになっていた。だが、私は、これは彼にいてもらなわなければと思い、ホテルに戻った彼に、事のあらましを言い、行くのを延期してもらった。病院に行くことになるかもしれないと思ったのだ。

 吐き気が収まり、下痢が続く。食中毒ではなく、食あたりである。

 下痢は、翌日一日続いた。

 一日寝ていた。水のような下痢である。何度もトイレに立った。消耗である。その間、何も食べたくない。水道の水を使い野菜を洗う。そしてシーフードである。

 その日から、タイ料理、とくに生物を食べなれなくなった。

 日本の水道は飲んでも死ぬことはないが、タイの水道は飲んで死ぬこともある。いかに日本の水は、良いものかということ。しかし、今、日本でもミネラルウォータを買って飲む時代。水道の水が飲めるということは、世界的に奇跡に近い。これ以上環境を汚染して、水道水を飲めなくすることは、大罪である。先祖が守った自然を破壊することは、先祖に申し訳がないと思うべきだ。

 丸一日をベッドで過ごした。ようやく夜に少しばかりの食事をする時、パンを食べた。そして翌日は、高級ホテルの日本食を食べることに決めた。それ程、食あたりが効いたのだ。それから二日、まったく便が出なかった。すべて腹の中のものを出し切ったのだろう。 

 コウタ君は、私のために予定を変更して、一緒にいることにした。

 四日目の宿泊は、ゲストハウスである。一人で泊まる予定が、二人になり、250バーツを支払う。その後は、ダウンタウンの真ん中の中流ホテル、ターペープラザホテルに三泊することにした。一泊850バーツである。

 ゲストハウスは狭く、ベッドが二つあるのみ。温シャワーがあり、扇風機のみである。しかし、私は初めて安宿に泊まる経験が出来た。それも自分で探してである。若者なら、当たり前であるが、この年になると、勇気がいる。現金とパスポートをしっかりと管理しなければならない。

 コウタ君は、インドやタイ、ベトナム等々で慣れているので、全く意に介さず。

 一人旅もいいが、同行者がいると、また心強い。

 ゲストハウスに泊まった日から、街に人が溢れた。9日より12日までタイの休暇であり、またチェンマイで国王の在位60年を記念してのフラワーフェスティバルであるから、タイ人が大勢押し寄せていたのだ。

 中流以下のホテルは、何処も満杯であった。ターペープラザホテルも、最後の部屋だと言われた。オフシーズンなら650バーツで泊まれたはず。200バーツ高い。

 中心街には日本レストラン、和食食堂が多いのに驚く。夜は、日本人経営の和食レストランに行く。勿論、安い。ただし米はタイ米である。食あたり依頼、しばらくタイ料理を口に出来なくなったのだ。

 コウタ君とは、行動を別にした。コウタ君は、新発見があり、楽しく出掛けていた。それについては、書くスペースがないので、いずれかの時に書く。

   

TOP