サイパン戦没者慰霊 平成19年5月22日〜25日


 ほとんど手つかずの砂浜にもどり、南無妙法蓮華経如来寿量品、大悲心陀羅尼をよみ、南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経と唱えます。
 異なる宗派のお経を同時によむのは、異様なようですが、テラの会では宗教・宗派を問わず、その場で求められる祈りの形をとります。戦没者には、あらゆる宗教・宗派の人がいたでしょう。その全てにとどけとばかり、一心不乱に祈り、さいごに大祓祝詞をあげ、御幣を海に投じて、慰霊は終わりました。

 その後、島内のいくつかの戦没者慰霊施設をまわりました。ガラパンの繁華街ちかくに神社がありました。いまでは観光の他、これといった産業のないサイパンに、かつて砂糖きび栽培で財をなした日本人がいたのです。太平洋戦争のためにその砂糖きび畑は全部なくなってしまったそうですが、なぜその後すぐに自分たちの手で栽培をやりなおさなかったのかと、現地の人はいまでもくやしがっているそうです。 近づくと、犬に吠えかけられました。

 ガラパンから少し南に下ったところにある大聖堂のわきに、さいしょに建てられた慰霊碑がありました。
 燃えるような火炎樹が植わっていて、これから夏にかけて島中真っ赤な花でいろどられるそうです。慰霊碑は車の行き交う交差点の角で、しずかに訪れる人を待っています。
 島民よりも、フィリピン人などの出稼ぎ者ばかり目に付くサイパンは、これからどうなっていくのでしょう。慰霊のために訪れたはずが、この島の現実を見せつけられた気がしました。
 リゾート気分で訪れる観光客を否定はしません。ただ少しだけ、いまの輝ける平和のために散華した人たちがいることを、心に留めて欲しいものです。
                             平成19年6月吉日

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