木村天山旅日記

バリ島へ 平成19年12月

第六話

舞台を終えて、テラハウスと、クミちゃんの家に戻った。

そこで、バリコーヒーを頂く。

 

バリコーヒーは、コピと言う。

コーヒーの挽いたままを入れて、粉が底に落ち着いてから、飲む。

最初は、粉っぽく感じられたが、これが、病み付きになる。しかし、私は、それを買って、日本では飲まないことにしていた。バリ島で飲むからいいのである。

 

手伝いの人や、お客さんの流れて来た人など、大勢が、中庭で、話した。

日本語、バリ語、インドネシア語、そして、英語である。

 

何を話したのか、忘れた。

 

私は、舞台が終わり、放心の様である。

 

終った後の、溜息が、心地よい。

 

コーヒーを飲み終わり、そろそろと、言うと、車の運転をしてくれる、叔父さんが、オッケーと、私たちを招く。

 

帰りに、買い物をしたいと言う。

水を買うためである。

 

大きなスーパーに連れていってくれるという。

早速、皆さんに、お別れして、車に乗り込んだ。

 

大きなスーパーだった。

遅い時間だったので、お客がいない。

 

そこで、私は、水と、ビンタンビールの缶ビールを三つ買った。

 

他の皆は、なにやら、多くの買い物をしている。

聞けば、お土産である。

スーパーで買うと、安い。その手が、あったと、感心した。

 

買い物を終えて、ホテルに向かう。

 

私は、部屋に入り、すぐに汗だくになった体を、シャワーで流した。

皆は、それぞれ部屋に入った。

疲れたであろうから、私は、千葉君だけを部屋に呼んで、缶ビールを飲んだ。

 

野中と、三人で、色々なことを、話し合った。

 

これからの活動については、勿論のこと、バリ島の文化と、日本の文化について、その相違点等々。そして、政治の問題などである。

 

石油高は、バリ島も、そうである。

飛行機の、燃料チャージが、また、上がる。

国際社会の状態が、石油を上げているだけではない。様々な問題が、それに、絡まっている。

一面的な、問題ではない。

 

飯島さんから、聞いた話も、三人で、思い出していた。

 

インドネシアの政治家の、汚職も、甚だしいほどのものがある。

日本政府も、円借款をしている国が、どのように、それを使用しているのか、調査するとのこと。早急に、行うべきである。

インドネシアには、毎年、日本から、一千億円近い、支援を受けている。

 

初代大統領スカルノ、そして、二代スハルトと、国民は、多く期待したが、結局は、国民を後回しにして、自分たちの資産を築いた。

ただし、初代スカルノは、まだ、英雄である。

新しい大統領が誕生するたびに、国民は、期待したが、結局、何も変わらないということが、解ったのである。

 

バリ島一つを上げても、一般の人々は、搾取され続けているのである。

 

12年前に、バリ島に行った時に、聞いた給料と、現在の給料が変わらないのである。

しかし、物価は、何倍にも上がった。

 

民主主義、共産、社会主義等々の、イデオロギーに関わらず、政治家や、支配者層は、我が身の懐を溢れさせるために、行動する。

人間の性であろう。

 

政治家は、どこの国の政治家も、同じである。

心底、国民のために、と、行為行動する政治家は、皆無に近いのである。

 

日本は、官僚にいいようにされ、税金をふんだんに、無駄に使わせて、更に、税金を上げるというのだから、空いた口が、何とかである。

政治家は、官僚より、更に、税金を無駄に、いや、自分のために使うのであろう。そして、そういう、政治家が、強いのである。皆、それらに、従う。

簡単に言うと、そういうことである。

 

社会保険庁、そのバックの厚生労働省、そして、防衛庁の様を見れば、日本が、完全に欠陥国家であることが、判明した。

さらに、与党も野党も、何がなにやら、解らないのである。

 

もし、野党が与党になっても、自分たちが言うことを、言われるだけである。

それを、国民は、黙って見ているという、国民欠陥国家でもある。

 

これで、選挙の投票など、したくなくなるという図である。

 

何か、根本のところで、歪んでいるのである。

そのためには、革命が必要である。

革命といえば、共産主義であるが、結果、その正体は、民主主義より、悪いものだったという。

 

自衛隊が、国会を占領して、暫定政府を作り、新たなる国造りをするというのは、考えられない。

 

今の日本は、日本人の良さが、すべて裏目に出いるのである。それを書けば、長くなるので、別の機会に書く。

 

バリ島の話である。

 

このまま行くと、バリ島は、観光客の、糞尿で溢れる島になる。

実際、糞尿処理は、無いのである。

大型のホテルは、自分のところで、処理する装置を付けているが、数少ない。

 

ある地区では、ナマズの養殖の食料に、糞尿を使用しているという。

これ以上になれば、神々の島は、糞、小便の島になる。

 

また、河川の汚染は、甚だしい。

観光客が捨てた、ゴミで、もう、川に入ることが出来ないところもある。

 

この、ゴミ処理も、何の打つ手が無い。

ゴミは、自然に帰ると思うバリ人に、教えて説くしかない。

一部、   焼却施設を持つ、個人的に、活動している方もいるというが、間に合わないだろう。

 

こういう問題は、矢張り、政治家の仕事である。

インドネシアの政治システムを知らないゆえに、多くを書くことが出来ない。

 

私たちが、バリ島に滞在している間、環境サミットが、開催されていた。

帰国後も、それは、続いていたが、あまり、思わしくない様子であった。

 

二酸化炭素の排出のみを言うが、もっと、専門家の話を聞くべきである。

政治家は、そんなことを知らないのである。

スローガンのみを掲げても、何もならない。

逆に、サミットにより、バリ島の環境を破壊しているのである。

彼らの滞在期間の、糞、小便は、どのくらいの分量になるのだろうかと、思う。

 

ウブドゥの、棚畠を見に出掛けた時、スコールが降った。

すると、見る間に、鉄砲水のように、道路を流れ出した。

下水道が、整っていないのである。

 

バリ島は、行政のやるべきことが、多すぎる。

ホテルは、どんどんと建つが、それに伴う、環境のシステムが、ついてゆかないのである。

 

クタの道を歩いていると、悪臭がするので、見ると、ゴミが、溜まっている。ただ、放置しているのである。

日本の、衛生観念とは、天と地ほどの差がある。

これから、バリ島で、活動すると、思うと、様々な問題が見えてくるのである。

 

私は、日本から持ってきた、日本酒を飲んだせいで、酔ってしまった。