ケアンズから、夜八時に帰国した。
すでに、私の目は、紫外線により、日焼けしていた。肌ではない。目が、日焼けしたのだ。
目の疲れは、体全体の疲れになる。
兎に角、目は、心の窓だけではない。体の窓でもある。
横浜まで、バスに乗った。
夜の闇が、目に心地よい。
この旅の最初の、三日間は、ケアンズで、過ごした。
その時は、後悔した。
新興都市ケアンズは、アホ面である。街が、アホ面なのである。
更に、物価の高さである。
サイパンの旅も、そうだが、観光地とされる土地や、国に行く趣味はない。
ケアンズという、街にも、興味がなかった。
しかし、飛行機の、乗り継ぎのために、滞在することになった。
カンタス航空の、特別チケットが、手に入り、そのため、アーネムランドの、ゴーブという街に向かう飛行機の、乗り継ぎのためである。
バリ島から、ダーウィンへ、そして、ゴーブという方法もあるが、値段が高いのである。
バリ島に、滞在している間に、ダーウィンに行き、そこから、ゴーブに入ることを、次からは、考えている。
ゴーブという街は、アーネムランドの東側海岸に当たる。
アーネムランドとは、アボリジニを象徴する土地である。
北海道と、四国を合わせた大きさである。
オーストラリアの東北に当たる。
ちなみに、オーストラリアは、日本の、21倍の広さである。日本の、真南に当たる位置にある。現在の人口は、2000万程度で、人口の大半は、東海岸に集中する。
さて、ケアンズである。
私は、好きも嫌いもなく、そのままを、書くことにする。
兎に角、物価が高く、嫌になるほどである。
朝の六時過ぎに、ケアンズに到着して、安いゲストハウス、あちらでは、モーテルというが、それを、探すのに、一苦労であった。
エアポートバスには、私たちの二人だけである。
街中に、降ろされて、宿探しである。
ホテルは、日本と変わらない料金であるから、最初から、諦めていた。
案内書を見て、モーテルを回る。
街中の、モーテルは、満杯である。
朝のコーヒーと、サンドイッチを食べて、二千円以上に、最初、驚いた。
野中が、近くのモーテルに、出向いたが、十時にならないと、解らないと言われた。
それから、タクシーに乗り、街の近郊のモーテルに向かった。
矢張り、満杯である。
再度、タクシーに乗り、駅付近のモーテルに向かった。
タクシーは、千円以上である。日本なら、ワンメーターであろう、距離である。
結局、野中が、最初に出掛けたモーテルの、長期滞在用の、コンドミニアムのような、一泊、約六千五百円の部屋に決めた。
私たちには、とても、高い部屋である。
タイで、泊まるにしても、二千円前後のホテルか、ゲストハウスなら、千円程度からあり、それに比べると、実に、高いのである。
勿論、それを、予想して、日本円を、持っていったが、信じられないほど、お金がかかった。
私は、毎日、スーパーに買い物に出掛けた。二食は、部屋で、食べるつもりだった。
和食の店で、安い定食を食べても、二千円である。
たぬき蕎麦が、千二百円。
沢山お金を持っての、観光旅行ではない。
追悼慰霊の旅である。そして、子供服支援である。
美味しくて、安い、日本米の、おにぎり屋さんを、見つけて、ホント、良かった。
一個、120円程度である。
丁度、オーストラリアドルが、高くなっている時期であり、想像以上の、出費であった。
ケアンズの街で、感じたことは、仕事をしている人の多くは、日本人、韓国人、中国人である。
勿論、オーストラリアの人もいるだろうが、私の見たところは、大半が、アジア系である。
また、観光客も、日本人、韓国人が多かった。
タクシー運転手は、働く人も、観光客も、日本人が少なくなったと言う。ということは、以前は、もっと、日本人がいたということである。
あの、新興の街に来て、一体何をするのであろかとの、疑問が、湧いた。
旅行案内を見ると、ダイビングや、世界遺産を見るというものがあり、確かに、観光地としての、目玉はある。
実は、私は、ケアンズの、アボリジニの文化を紹介する、ジャプカイ・アボリジナル・カルチュラパークには、出掛けようと、思っていたが、止めた。
理由は、オーストラリアの、アボリジニ政策を、知ったからである。
ケアンズの三日間は、アボリジニの理解に、当てた。
これから、追々と書くが、凄まじい、独善の侵略と、同化政策である。
その、パークで、見られるものは、オーストラリアが、勝手に解釈した、アボリジニの文化だと、気付き、そんなものを、見ても、単なる、お昇り観光客と、同じであると、気付いた。
それより、早く、アーネムランドに行くことだと、思った。
ケアンズの季節は、冬である。
ところが、朝晩は、少し冷えるが、日本の初夏を思わせる、気候である。
何とも、気持ちがよい。
ただし、日差しは、体に毒であるから、注意だった。
紫外線が、日本の七倍である。
サングラスと、日焼け止めが、必要だ。
私は、浴衣を着て過ごしていたので、サングラスをかけた。といっても、いつものメガネに、乗せるものである。
しかし、それを、時に忘れる。
目が、日焼けするという、感覚になるのである。
スーパーに行き、インターネットカフェに行き、部屋で、アボリジニについての、本を読む。特に、今回は、日本人女性の、学者の本が、有意義だった。
私は、旅の間、本を読む趣味はない。
本など、読んでいられないのが、旅であるが、サイパンの時も、追悼慰霊以外の時は、本を読んだ。それほど、何も興味が、持てなかったのである。
そして、マッサージである。
旅の、唯一の楽しみは、マッサージである。
しかし、料金が高い。
最初に、出掛けたマッサージは、何と日本人経営の店である。
フットマッサージ、30分、30ドル、約三千円である。
それから、安いマッサージを探した。
ナイトマーケットの中にある、韓国人の若者が多く働く、マッサージ店を、見つけた。
10分単位である。千円。
しかし、組み合わせると、安くなる。
フットと、全身45分で、25ドル。
片言の英語で、話すと、経営者は、中国人だと、言う。
ワーキングビザで、働きに来ているという。
そこに、二度行った。
後は、高くて駄目。
和食の店も、一度行ったきりである。回転寿司もあるが、入らなかった。
シーフードを食べたいと思ったが、レストランの料金が、また、高い。
店の前で、客引きをしていた、日本人女性に、この値段高いねーと、言うと、ハーフにして、注文することも、出来ると、言われた。
後で来ると、言ったが、結局行かずに、ナイトマーケットの、屋台の料理を買い、部屋で、食べた。
それは、皿の大きさで、値段が決まるというもの。好きな皿の大きさを選び、それに、料理を、好きなだけ乗せるというもの。詰め放題のような感覚である。
私は、11ドル程度の皿を選んだ。中間の大きさである。
しかし、それなのに、私は、食べ過ぎていた。
スーパーで、買う物、多く買うと、一つについて、安いので、多く買う。
すると、捨てるのがもったいないので、食べる。
そうして、食べ過ぎになったのである。
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