天山旅日記
ベトムへ
平成20
10月
 

第13話

タイマッサージは、お寺で、資格を出すのが、正式である。

マッサージをはじめる前に、合掌する。

しかし、それが、今は、あまり見られなくなった。

お寺以外でもマッサージスクールが出来たようである。

 

三ヶ月、毎日、理論から実技まで、みっちりと、学ぶ。そこで、資格を得て、それぞれ、お勤めしたり、自分で店をはじめたりする。

 

勿論、お金の無い人は、見よう見まねで、する場合もある。

 

パタヤは、ありとあらゆる、マッサージ嬢がいる。また、ボーイズマッサージもある。

男だけの、マッサージ店である。

男も女も、受けられるが、ゲイに人気がある。

 

今回は、すべて、新しい店を探して行った。

 

ホテル近くにも、数え切れないほど、マッサージの店がある。

最初に出掛けた店は、ホテル並びの店。

タイマッサージ一時間、200バーツ、約660円。

 

四十代のベテランだった。

強さも、まずまず。

基本通りである。特に、タイマッサージは、下半身、脚と、足裏が中心である。

脚を揉み解すと、体液の流れがよくなり、楽になる。

 

それと、同じ位に、上半身に、力を入れると、いいと、いつも、思っている。

何も話すことなく、黙って、受けた。

上手の部類に入る。

 

それから、翌日は、足裏、フットマッサージを受けた。

若い人でも、上手である。

 

ただ、フットマッサージで、効いたのは、ベトナムで、一度だけ受けた、9ドルのフットマッサージだった。

観光客を相手にする店である。

 

足裏に、棒で、刺激を与えるもので、タイでも、使用する人もいるが、ベトナムの、それは、非常に強い刺激を与える。

つまり、痛いのである。

私は、その治療法を知っているで、痛みが、後で、楽に変わるので、我慢出来たが、はじめての人は、我慢出来ない痛さである。

 

勿論、彼女は、強さは、いいかと、聞いた。オッケーと、言って、続けてもらった。

 

腕を揉み、更に、最後に、背中と、肩をやってくれた。

それがまた、強い。

ベトナム人らしい強さである。

 

驚いたのは、私の肩の、凝りを、肘で、潰そうとしたことである。

全身を掛けて、肩の凝りを取るという。

これには、感心した。

 

実に満足して、帰国する前にも、ホーチミンに立ち寄るので、時間があれば、また、来ようと思ったほどだ。

 

さて、パタヤである。

 

路地にあるマッサージ店の人々は、人懐っこくて、水ば出すし、終わると、丁度昼時で、食事をはじめている嬢もいた。

そこに、座れといわれ、豚の頭を解体して、茹でたものを、一緒に食べろと言う。

 

戸惑っていると、一つ、一つと、取って、差し出してくれる。

私は、これが、どの部分かと、気になったが、折角の行為と、恐る恐る食べてみた。

 

一人の、嬢が、非常に臭い魚の、漬物みたいなものを、もち米につけて、差し出した。

とても、臭いが、食べてみると、美味しい。だが、危険である。一度で、止めた。

 

更に、もち米を、タレにつけて、差し出してくれた。

辛いその、タレは、タイのいつものもの。

もち米を、タレにつけて、それだけで、食事が終わることもある。

 

随分と親切である。

明日は、タイマッサージをしに来ると、言って、退散した。

 

そこの、マッサージ嬢も、多く、イサーンから、働きに出て来ていた。

そこで、働いて、郷里の親に、仕送りをしているのである。

 

翌日の、朝、開店の十時に、スタッフも連れて、行ったが、まだ、店が開いていない。

休みかと、思ったが、休みだとは、言ってなかったと、並びにある、マッサージ店を、見ると、隣が開いている。その隣は、まだ、開いていない。マッサージ店が、三件並んでいるのである。

 

隣の嬢たちは、皆、店の前で待機していた。

朝の食事をしている嬢もいる。

 

店の前に立つと、オーナーが、声を掛けてくる。

それじゃあと、いうことで、スタッフは、フットマッサージを受けることになった。

私は、何にするか、考えた。

 

タバコをふかした。

そして、皆のいる、店先に座り、嬢たちの、様子を見ていた。

雑誌を見ていた嬢の、隣に座ったので、一緒に、その雑誌を見ることになった。

タイ女性の、モデルたちの、写真が出ている。

隣の嬢が、セクシーと言う。私も、頷く。

 

どこから来たの。

イサーンから。

そう、私も、ウドンターニ、ノンカーイに行った、よ。

私の町は、その下の方にある。

町の名前を聞いたが、知らない町である。

 

言葉を交わしているうちに、私は、彼女に、オイルマッサージをしてもらうことにした。

一時間、300バーツが、相場だが、路地にあるためか、250バーツである。

 

スタッフは、すでに、フットマッサージを始めていた。

私は、オイルなので、中のブースに入る。

腰巻一つで、受けるのが、普通だが、それぞれの店のやり方がある。

 

彼女は、バスタオルを持って、シャワー室に、案内した。

そこで、シャワーを浴びる。

彼女は、外で、待っていた。

そして、ブースに案内される。

カーテンで、仕切られている、ブースに入る。

 

どうするのか。

伏せて寝るようにいわれた。

その通りにすると、バスタオルを外された。全裸である。

 

足から、オイルが塗られて、はじまった。

だいたい、オイルマッサージは、気持ちがよくなり、寝てしまう。

だが、私の場合は、相手が、疲れている場合など、それらを、受けるので、逆に、マッサージが終わると、どっと疲れることもある。

 

オイルマッサージは、危険である。

若く、健康でなければ、やられる方が、具合が悪くなる。

年配の人には、タイマッサージを、オイルマッサージは、若い人にが、いい。

 

だんだと、気持ちよく、うとうとする。

そして、背中が終わると、仰向けになる。

このまま、なのか。

この年になると、恥ずかしくなくなり、そのまま、仰向けになる。

 

彼女は、何事もなく、始めた。

全裸である。

股間に、タオルを当てない。

薄暗いので、いいのか。

 

これは、しかし、若い男なら、少し困るだろうと、思う。

だが、マッサージを受けていて、勃起する程度が、良い状態だとのこと。

リラックスし、更に、神経が、亢進することなのである。

交感神経の亢進で、勃起する。

しかし、副交感神経も、働く。

それが、うまくミックスして、快適、快感を生む。

 

やはり、うとうとした。

 

彼女は、お客主体で、お客が、タオルを求めると、タオルを掛けるのだと、後で気づく。

 

ゆったりとした気持ちになり、終了した。

その間、向こうで、フットマッサージを受けている、スタッフと、嬢との、会話が弾んでいる。

 

彼女は、トントンと、私の肩を叩き、起こした。

そして、再び、シャワー室に、案内する。

そこで、シャワーを浴びていると、何と、中に彼女が入ってきた。

 

そして、シャボンを取り、私の背中から、足まで、洗ってくれるのである。

はじめての、ことである。

更に、胸まで、洗った。

淡々と行う。

私は、彼女に、水がかからないようにして、浴びたが、彼女は、意に介さず、サービスする。

 

感動した。

 

それが、終わると、すっと、シャワー室から、抜けて、待っている。

バスタオルで、体を覆い、ブースに戻り、着替える。

その間、ベッドの端に、腰掛けて待っている。

 

その、控え目な、対応に、私は、思わず、先にチップを出した。

100バーツ。

チップは、20バーツと、決めていたし、また、出さない時もある。しかし、今回は、彼女の行為に感動して、100バーツにした。

それを受け取ると、合掌して、コープクンカーといい、感謝する。

 

実に、気分の良いものだった。

路地裏の店、特有のものだろう。

 

次も、機会があれば、彼女に、オイルマッサージをしてもらいたいと、思った。

そう思うのも、はじめてである。

悪い気を受けなかったのである。