第5話
サヌールでも、日本料理の店がある。
見た限りでは、三件あった。
泊まった日の、夜、初めて日本料理の店に入ってみた。
そこで、ビールの小瓶を、コータと二人で飲んだ。コップに、一杯程度である。
それで、十分だった。
その夜だけ、唯一、アルコールを飲んだ。
ざる蕎麦を、注文した。
後の二人が、何を注文したのか、忘れた。
税金と、サービス料で、食事代と、その17パーセント払ったと、思う。
意外に、高い食事だった。
それで、ホテルに戻り、翌日の、準備をして、早々に寝た。
そして、翌朝は、書いたとおりである。
サヌールの予定を終えて、クタに戻る途中、海がめの島で有名な、スラガン島に、立ち寄る。
車の手配は、コータが、前日にした。
バンで、180000ルピアである。
1800円。
最初は、30万ルピアと言われて、何度か、交渉して、成立したのが、最後の車だったと言う。
18万ルピアは、安い。
クタに、行くだけでも、20万ルピアとの、相場である。
さて、運転手さんは、何を思ったのか、海がめを見せるという。
確かに、海がめの島に行くが、海がめを見るためではなく、支援のために行くのである。
ところが、話が通じなかったようで、途中で、海がめの、ナントカコントカに向かっているというので、私は、ノー、アイドント、サイトスィーイング、アイドライク、チャイルド、プレゼント、ゴー、という、変な英語で、話した。
それでも、運転手は、理解しない。
アイアム、ノー、ブレイ。チャイルド、ギブ、服、服という英語が、出てこない。
ついに、コータが、説明した。
それで、運転手は、来た道を、戻ることになる。
一体、どこの、海がめセンターに、連れて行こうとしたのか、解らない。
海がめの島でも、海がめは、見られるのであると、後で、解った。
とんでもない、料金だったが・・・
さて、ようやく、スラガン島に、到着した。
私たちは、声を上げた。
美しい。実に、美しいのである。
三陸海岸に似た風景である。
それより、優しい、緑と、海の青である。
10円ほどの、入場料を払い、島に入る。
すぐに、泳ぐ子供達が、いた。
運転手が、車を止めようとするので、もう少し先に、ゴーと、言った。
日本語と、英語である。
向こうに、沢山の子供達が、泳いでいるのが見える、方向に向かった。
正解だった。
そこで、バッグを開けると、子供達が、集ってきた。
また、大人たち、おばさんたちもである。
一人一人に、サイズの合う服や、ズボンを渡す。
男の子達は、シャイで、行儀よく、自分の番がくるのを、待つ。
ところが、途中から、おばさんたちが、参入してくると、混乱である。
私にも、子供がいる。と、日本語に聞える。
ホント、おばさんたちは、どこの国でも、強い。
女の子が、待っているので、女の子の物を出すと、おばさんたちが、手を伸ばす。
バッグから、勝手に取り出すのを制止しつつ、一枚一枚と、取り出すが、結局、おばさんパワーに、飲み込まれる。
最後の、辻友子が、取り出した、水着まで、おばさんが、取り上げた。
恐るべし。
決して、おばさんが、着れる、水着ではない。
子供達は、手に手に、服を体に当てて、喜んでいる。
それが、救い。
そして、ひと段落すると、私たちに、飛び込みを見せてくれた。
写真を撮る。
ちなみに、学校に行くには、お金がかかる。
入学時には、100万ルピア、約、一万円。そして、毎月、建物費というものがあるらしい。そして、制服代など。
毎月、約五千円程度の、お金がいる。
公立学校は、無料と、聞いていたが、矢張り、お金がいるのだ。
これから、建物費が、無料になり、出来る限りの、子供が、学校に通えるように、政府が、指示しているというが、そのお金が無い子供は、結局、学校には行けない。
その日は、金曜であり、学校があるはずであるが、学童期の子供もいた。
一通りの、支援が終わると、一人のおばさんが、亀を見てと言う。
えっー、亀いるの・・・
と、私たちの、目の前が、亀センターである。
この島の、亀センターというか、村の亀センターである。
折角だから・・・
それでは、一寸だけ、見てと、その建物に、入る。
目の前に、海がめが、泳いでいる。
一人の、おばさんが、私に、海草を渡したので、それを、亀に上げるのだと、亀に、差し出すと、亀が食べる。
それを、三度ほどした。
辻友子も、そうして、海草を、何度か食べさせた。
コータは、トイレに行っていた。
亀の頭を、撫でて、さあ、クタに戻ると、思った時に、一人のおばさんが、20ドルと言う。
えっー、20ドル。
つまり、20万ルピアである。
暴利である。
コータに言わせた。
また、その時、ドルは、車の中のトランクのバッグの中である。
ドルは無い。いくら欲しいのだと、コータが言った。
その剣幕と、支援物資を、我先にと、取ったせいか、おばんさは、ルピアなら、いくらでもいいと、言った。
私は、5万ルピア、約500円を、渡した。
1,5リットルの水が、3000ルピアであるから、5万ルピアは、それなりの大金である。
それを見ていた、運転手が、憤慨していた。
とんでもないと、言うようだった。
全く、収入が見込めない状態であることは、理解した。
別の場所に、観光客は行く。
ほとんど、旅行会社が、連れて行かないと、客は、来ないだろうと、思えた。
それが、解ったから、5万ルピアを上げたのだ。
タクシー運転手は、走りだしてから、あんなことをして、恥ずかしいと、言った。
この運転手さんは、実に、誠実で、良い人だった。
自分にも、子供がいる。服が欲しいと、言ったが、島の子供達に、上げている時に、我慢して見ていたのである。
スーパーの服は高い。しかし、屋台売りの服は、すぐに駄目になると言った。
二三回洗濯すると、もう、着られなくなると言うのだ。
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