木村天山旅日記

  ラオス・ルアンパバーン
  
平成21年6月 

 

第9話

よく眠った。

酒も飲まずに、よく寝た。

 

朝、六時前に目覚めて、タバコをふかした。

ちなみに、ラオスの、ゲストハウスは、おおよそ、禁煙である。

喫煙場所は、外。

 

私は、分からぬように、部屋の中で、吸い続けた。

勿論、匂いが出るので、窓を開ける。

 

七時に、部屋を出て、メコン川通りに出て、散歩した。

すでに、道端では、商売が始まっている。

 

細い路地の、市場に向かった。

威勢の良い、掛け声がかかる。

驚くことはなかった。

スタッフから、聞いていたので、何が売っていても、驚かない。

 

イノシシの足、生きたカエル、いろいろある。

勿論、野菜も多い。

ほとんど、ラオス料理に使うものが、売られている。

 

日本人の姿は、無いが、ヨーロッパから来た、夫婦が、ガイドを連れて、見学に来ていた。

その、ガイドの説明を、私も聞いていた。

 

興味を引かれたのは、川魚である。

ナマズや、うなぎのような魚。そして、干した魚、イカである。

川でも、イカが、捕れるのか・・・

 

大きな魚もあった。

鯛を大きくしたものである。

 

あまり安いので、何かを買いたくなった。

行きつ戻りつして、買うものを、考えたが、結局、やめた。

 

剣先イカの、干したものを、買おうとしたが、その、売り子の女が、全く、やる気無し。

人生を、捨てているかのような、態度である。

その、気持ちも、解る。

 

毎日、毎日、暑い朝から、ここで、売るのである。

嫌になることも、あるだろう。

 

山で、採れたものを、持ってきて、広げて売る人も、疲れている。

何がしかの、お金を得るために、毎日、毎日、こうして、持ち運ぶのだろう。

商売の、原点である。

 

私は、市場を抜けて、大きな通りに出た。

 

昨日、ミニフランスパンのサンドイッチを買った、女の子たちの、店がある。コーヒー店も。

私が、通ると、手を振る。

私も、手を振る。

本当は、買いたいのだが、もう、部屋には、朝の食べるものがある。

 

コーヒーも、昨日のものが、残っている。

それで、素通りした。

また、会いましょうと、言いたかったが、止めた。

 

そのまま、ゲストハウスに、戻る。

 

一時間ほど、歩いた。

 

出発は、12時である。

昨日、ゲストハウスの、オーナーママに、トゥクトゥクを頼んである。

 

何と、料金は、30000キップである。

約、3,5ドル。もし、ドルで、支払うと、4ドルになるので、私は、キップで払うことにした。すでに、ママさんに、支払っていた。

 

つまり、空港からなら、6ドルなのであり、街中からは、3ドルで行ける。

半額である。ということは、あの空港の、チケット売り場は、半分、搾取しているということ。

 

こんな、些細な、金額にも、私は、拘るのである。

それも、これも、大半が、自腹であるからだ。人の金ではない。私の金である。

 

お金は、命の次に大切なもの。だから、大切に使う。

 

部屋で、ミニフランスパンのサンドイッチを食べたのが、九時頃である。

そして、冷めたコーヒーを飲む。

実は、私は、翌日の冷めたコーヒーが好きなのである。

 

食べ物は、腐る寸前、飲み物は、冷めたものが、好きだ。つまり、当たりやすいものを、好む。当たりやすいとは、食中りである。

だが、一度だけ、タイ・チェンマイで、食中りしたが、その後は、全く、異常なし。

 

少し、胸悪くなることがあるが、正露丸を飲むと、治まる。

また、胃腸薬である。

 

それに、食べ物で、死ぬことは、無いと思っている。

 

出発の、準備といっても、何も、物が無いのである。

二つのバックは、空であるから、一つのみ。やっては、いけないことだが、果物を、詰める。食べきれないからだ。

 

12時15分前に、荷物を、ゲストハウスの前に運ぶと、すでに、トゥクトゥクは、待っていた。

ゲストハウスのママさんに、お別れを言う。

えーとーーーー、ネクスト、タイム、ステイ、ヒアー

コープチヤイ・ライライ

そして、運転手に、オッケーゴー、である。

 

ホント、私は、アホではないかと、思う。

自分の言うことが、自分でも、よく解らないのである。

 

トゥクトゥクは、空港に、向かって、ひたすら、走る。ルアンパバーンの街を、どんどんと、走る。