第10話
トゥクトゥクの、おじさんに、1,5リットルの、水を一本差し上げて、お礼を言う。
チップなど、要求しない。
私は、荷物が、軽くなり、実に爽快な気分である。
空港に入る前に、セキュリティチェックがある。
ペットボトルを、あと、三本も、持っている。
駄目かと、思えたが、大丈夫。ちなみに、ペットボトルは、駄目な場合もある。
ラオスでは、飛行機にも、持って、乗れた。
また、来てください
警備の人に言われて、驚いた。
日本語である。
一時期、政府の観光担当の大臣が、日本にメッセージを出した。
ラオスは、何もない国ですが、自然があります。どうぞ、その自然を満喫するために、一度、訪れてください、というものだった。
それで、二週間滞在なら、ビザがいらないのである。
タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジアも、そうだ。
日本人なら、ビザ無しで、入国できる。
これも、国力のお陰である。
空港内は、すべて、禁煙である。
この、長い時間を、禁煙である。
ああ・・・
といっても、我慢は、出来る。
飛行機の中も、禁煙である。
ただ、喫煙場所があると、吸いたくなる。
その、喫煙場所は、外である。
であるから、一度、入って、登場手続きをして、再度、外に出て、タバコを吸う。
そして、また、セキュリティチェックを通る。
検査官が、笑う。
出て入り、また、出て、入る。
それで、二度で、止めた。
時間が、早いが、出国審査を受ける。
待つことなく、30秒で、終わり。
そして、待合室に入る。
まだ、一時間半もある。
トイレ掃除の、おばさんに、水を上げて、話をするが、英語が出来ないので、笑うだけ、でも、私は、日本人ですは、伝わった、というより、着物姿であるから、当然である。
おばさんは、顔を合わせるたびに、微笑んだ。
私は、空港内で、働く人に、時々、色々な物を、差し上げる。
お菓子だったり、果物などである。
次に行くとき、あちらから、声を掛けてくれる。
それが、嬉しい。
タイの空港の、一階の食堂で、食べるものを選んでいると、突然、声を掛けられて、驚いた。
前歯の、抜けた、タクシー運転手である。
一度も、乗ったことはないが、妙に、私に話し掛けてきた、おじさんで、また、来たの、なんとかこんとかーー、と言う。
ああ、驚いた、である。
確か、彼には、タバコを上げた記憶がある。
ゴミ清掃のおばさんや、トレイ掃除のおばさん、セキュリティのお姉さんにも、覚えられていた。
中には、空港社員の、スーツ姿の、お兄さんにも、覚えられて、いつも、目礼される。
とても、格好よく、一度、トイレで、一緒になったときは、どういう態度がいいかと、悩んだ。
何か話そうとするが、言葉がみつからず、視線のみで、やり取り。
変な、雰囲気だった。
さて、いよいよ、搭乗である。
目の前に止まった、飛行機に乗る。
今、客を出して、少しして、私たちが、乗る。
トンボ帰りである。
そして、また、時間に関係なく、全員が乗ると、すぐに、動き出した。
安定飛行に入ると、早速、機内サービスが、始まる。
とても、不思議な、食事が出た。
乾燥肉のような、おかずに、もち米である。
少し硬い肉で、おつまみのような感じである。
それと、もち米を食べる。
周囲の人を見ていると、皆、残している。
私だけは、全部食べた。
時々、機長が、訛りのある英語で、途中報告をする。
全然、解らない。
ラオスから、タイ領内を飛んでいるはず。
下を見てもいいが、目眩がするので、止める。
ただ、目を瞑り、寝る。
そのうちに、下降をはじめて、着陸である。
別段、指導は、無い。というより、私に、聞こえないのかもしれない。
タイ語の、案内は、音楽のように、聞こえるし・・・
長い時間の、二泊三日が、終わった。
スワナプーム空港である。
また、タクシーと、交渉しなければ、ならない。
今度は、メーターオッケーと、決めて、乗り込んだ。
丁度、200バーツである。20バーツをチップで上げた。
五時前に、スタッフの滞在している、アパートに到着した。
スタッフも、丁度、学校が終わり、部屋に着いたところだった。
お互いに、顔を見合わせて、ため息を、ついた。
あーーーあ
よかった、よかった、である。
無事が、何より。
|
|