木村天山旅日記

 バンコクの日々
  
平成21年6月 

 

バンコクの日々 第4話

アパートの一階にある、レストランの女の子は、無愛想だと、スタッフが言う。

スタッフや、他の客に、鼻も掛けないらしい。

 

ところが、私が行くと、笑うので、スタッフが不思議がった。

 

厨房のおばさんも、一人で、切り盛りしている。

その、おばさんも、無愛想極まりない。

 

女の子は、各部屋に、料理を運ぶ。

 

何となく、無愛想の理由が解る。

 

愛想なぞしていると、何をされるか、解らない連中ばかりである。

 

日本人然り、欧米人然り。

あからさまに、セックス相手として、対処するのだろう。

 

更に、女を部屋に連れ込む男たちの、有様を見て、呆れているはずである。

 

日本の男、四人が、一人の売春婦を、使いまわしている様子を、見た。

呆れた。

 

さて、私が行くと、笑う。

おじさんにも、笑わないのに・・・と、スタッフが言う。

 

私は、平気で、話し掛ける。

日本語である。

彼女は、英語も、勿論、日本語も、解らない。

私に、そのような、すけべ心というものを、感じないからだろう。

 

水が出て、不思議な香りがするので、すぐに、彼女を呼んで、これ、匂いがついているの、どうして・・・と、言うと、彼女は、厨房に行き、ある、葉っぱを持って来た。

 

これで、作っていると、言う。

確かに、その葉の匂いである。

お茶というのか、何と言うのか、解らないが、レモンの汁を入れるような感覚。

 

一度、20バーツのチップを上げた。

最初、遠慮する。

再度、呼ぶと、控え目に出て来た。

 

厨房のおばさんにも、最後の日に、20バーツのチップを上げた。

とても、喜んだ。

おばさんに、声を掛ける、客は、勿論、いない。

 

焼き飯を、注文して、大量に作ってくれたこともある。

おばさんの、サービスだった。

 

スタッフと、同じものを、注文しても、私の量が、多いのである。

 

スタッフが、あの二人が、人を気に入るということがあるんだと、感心していた。

 

ちなみに、ここに、滞在している、日本人のおじさんのこと、である。

非常に傲慢不遜である。

兎に角、威張りの、波動全開。

いつも、威張っているのである。

他の日本人を鼻で笑う。

 

退職しても、部長だと、思い込んでいる、アホのように。

 

アパートの従業員を、人と、思わない態度、対応。

見ていると、反吐が出る。

 

何様だと、思っているのか、一度、聞いてみたくなった。が、スタッフに、止められた。

 

一体、あの、優越意識は、どこから、来るのか。

馬鹿、アホ、間抜けである。

 

そんなに、偉いのなら、こんな安アパートではなく、高級ホテルに滞在することなのである。慇懃に対応して、優越意識を、くすぐる、ホテルに行けばいいのである。

 

 

さて、スタッフと、飲みに、出た。

といって、カラオケ店でも、バーでもない。

路上に店を出している、路上スナックである。

 

その道には、色々な、屋台が出ている。

その一つ。

小さな、テーブルと、椅子が置かれてある。

 

地元の若者の、溜まり場になるという。

それは、深夜であるから、私には、無理。

九時頃なので、私とスタッフだけである。

 

スタッフは、アルコール入り、私は、ノンアルコールである。

カキ氷に使う、シロップに、氷を混ぜたものを、飲みつつ、話をする。

 

夜は、ゲイ、レディボーイ、レズビアン、ノーマル、皆集まるという。

さぞ、賑やかなことである。

そこで、皆、友達になるという。

 

スタッフは、ゲイにモテるらしい。

必ず誘われるという。

何せ、髪型が、ゲイなのである。

 

道を歩くと、よく、ハーイと、声を掛けられる。

知り合いと、聞くと、いや、知らないという。

兎に角、タイでは、そんな雰囲気だと、ゲイに声を掛けられる。

 

スタッフは、レディボーイ研究であるから、彼らと友達になりたいのである。

 

突然であるが、幽霊の話になった。

スタッフが、私を、モーピーと、言ったから、つまり、霊的能力のある人である。

彼は、ここの道は、どうだと、尋ねるので、沢山いるよと、答えた。

どうしているの

ここに、いたいから

 

よく、それを見る人がいるんだよ

当然である。

だから、精霊、ピーの、祠が、何より、立派に作ってある。

 

精霊というが、浮遊霊である。

祠に、食べ物、水、線香を焚いて、彼らを、鎮める。

 

彼は、タイ人の八割は、霊を信じていると、言う。

ピーを、粗末にすると、大変な目に遭うという。

 

私は、霊の憑依で、我を忘れた人を、幾人か、見た。

 

一時間ほど、話して、焼き鳥を買って、部屋に戻った。

焼き鳥は、10バーツ、30円である。

 

深夜に、出掛けてみたいが、私には、無理である。

地元の若者に会いたいが・・・

 

焼き鳥も、食べずに、寝てしまった。