バンコクの日々 第4話
アパートの一階にある、レストランの女の子は、無愛想だと、スタッフが言う。
スタッフや、他の客に、鼻も掛けないらしい。
ところが、私が行くと、笑うので、スタッフが不思議がった。
厨房のおばさんも、一人で、切り盛りしている。
その、おばさんも、無愛想極まりない。
女の子は、各部屋に、料理を運ぶ。
何となく、無愛想の理由が解る。
愛想なぞしていると、何をされるか、解らない連中ばかりである。
日本人然り、欧米人然り。
あからさまに、セックス相手として、対処するのだろう。
更に、女を部屋に連れ込む男たちの、有様を見て、呆れているはずである。
日本の男、四人が、一人の売春婦を、使いまわしている様子を、見た。
呆れた。
さて、私が行くと、笑う。
おじさんにも、笑わないのに・・・と、スタッフが言う。
私は、平気で、話し掛ける。
日本語である。
彼女は、英語も、勿論、日本語も、解らない。
私に、そのような、すけべ心というものを、感じないからだろう。
水が出て、不思議な香りがするので、すぐに、彼女を呼んで、これ、匂いがついているの、どうして・・・と、言うと、彼女は、厨房に行き、ある、葉っぱを持って来た。
これで、作っていると、言う。
確かに、その葉の匂いである。
お茶というのか、何と言うのか、解らないが、レモンの汁を入れるような感覚。
一度、20バーツのチップを上げた。
最初、遠慮する。
再度、呼ぶと、控え目に出て来た。
厨房のおばさんにも、最後の日に、20バーツのチップを上げた。
とても、喜んだ。
おばさんに、声を掛ける、客は、勿論、いない。
焼き飯を、注文して、大量に作ってくれたこともある。
おばさんの、サービスだった。
スタッフと、同じものを、注文しても、私の量が、多いのである。
スタッフが、あの二人が、人を気に入るということがあるんだと、感心していた。
ちなみに、ここに、滞在している、日本人のおじさんのこと、である。
非常に傲慢不遜である。
兎に角、威張りの、波動全開。
いつも、威張っているのである。
他の日本人を鼻で笑う。
退職しても、部長だと、思い込んでいる、アホのように。
アパートの従業員を、人と、思わない態度、対応。
見ていると、反吐が出る。
何様だと、思っているのか、一度、聞いてみたくなった。が、スタッフに、止められた。
一体、あの、優越意識は、どこから、来るのか。
馬鹿、アホ、間抜けである。
そんなに、偉いのなら、こんな安アパートではなく、高級ホテルに滞在することなのである。慇懃に対応して、優越意識を、くすぐる、ホテルに行けばいいのである。
さて、スタッフと、飲みに、出た。
といって、カラオケ店でも、バーでもない。
路上に店を出している、路上スナックである。
その道には、色々な、屋台が出ている。
その一つ。
小さな、テーブルと、椅子が置かれてある。
地元の若者の、溜まり場になるという。
それは、深夜であるから、私には、無理。
九時頃なので、私とスタッフだけである。
スタッフは、アルコール入り、私は、ノンアルコールである。
カキ氷に使う、シロップに、氷を混ぜたものを、飲みつつ、話をする。
夜は、ゲイ、レディボーイ、レズビアン、ノーマル、皆集まるという。
さぞ、賑やかなことである。
そこで、皆、友達になるという。
スタッフは、ゲイにモテるらしい。
必ず誘われるという。
何せ、髪型が、ゲイなのである。
道を歩くと、よく、ハーイと、声を掛けられる。
知り合いと、聞くと、いや、知らないという。
兎に角、タイでは、そんな雰囲気だと、ゲイに声を掛けられる。
スタッフは、レディボーイ研究であるから、彼らと友達になりたいのである。
突然であるが、幽霊の話になった。
スタッフが、私を、モーピーと、言ったから、つまり、霊的能力のある人である。
彼は、ここの道は、どうだと、尋ねるので、沢山いるよと、答えた。
どうしているの
ここに、いたいから
よく、それを見る人がいるんだよ
当然である。
だから、精霊、ピーの、祠が、何より、立派に作ってある。
精霊というが、浮遊霊である。
祠に、食べ物、水、線香を焚いて、彼らを、鎮める。
彼は、タイ人の八割は、霊を信じていると、言う。
ピーを、粗末にすると、大変な目に遭うという。
私は、霊の憑依で、我を忘れた人を、幾人か、見た。
一時間ほど、話して、焼き鳥を買って、部屋に戻った。
焼き鳥は、10バーツ、30円である。
深夜に、出掛けてみたいが、私には、無理である。
地元の若者に会いたいが・・・
焼き鳥も、食べずに、寝てしまった。
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