木村天山旅日記

 バンコクの日々
  
平成21年6月 

 

バンコクの日々 第5話

アパートから、大通りにある、ジャスコまでは、歩いて、10分ほどなのだが、何度も、道を曲がるので、その道が、分からなくなる。

 

決して、一人では、戻れない道。

覚える気がないというのもある・・・

 

そこでは、食材が何でも揃う。

最初は、部屋で食べる、パンやハム、飲み物を買った。

 

驚くべきは、日本人用の、食材の豊富さである。

寿司セットは、見慣れたが、刺身セットがあった。

 

うどん、そば、ラーメンと、日本で売られている物、多々あり。

ただし、値段が高い。

 

果物が、豊富である。それらは、タイのもの。

丁度、時期が、果物全開の頃なので、実に、豊富である。

 

私は、パインが好きで、切り売りの、パインを買う。

それは、一個の、四分の一で、10バーツである。

一つのパインが、25バーツで、売っていたので、早速、安いと、買った。

 

ところが、レジにて、値段票がついていないと、言われた。

日本ならば、ここで、レジ打ちの人が、店内を走り、調べに行くが、タイの人は、値札が無いから、打てないと言う。

私は、店内を走った。

果物売り場の、店員を探す。

 

ようやく、見つけて、説明するが、英語が通じない。

そこで、彼をレジに連れて行く。

レジで、レジ打ちの人と、話させる。

 

なんとかこんとか

そう、なんとかこんとか

 

果物売り場の、彼が、今度は、走った。

値札をつけて来た。

何と、38バーツである。

 

えーーーーっ

25バーツじゃないの

本当は、それでも、安いのだが、私の頭の中は、25バーツに、決定している。

 

折角、そこまでしたのに、私は、買わないことにした。

いらない

そう言うと、レジ打ちに、伝わった。

その時の、彼女の、顔を、何と表現していいのか。

 

ああ、だるい、もう、いやだぁーーーー

 

後ろで待っていた人もいるから、なお更。

 

私は、その場をすぐに、離れた。

 

それから、二つの買い物袋を持って、部屋に戻る。

汗だくになる。

 

また、別の日、スタッフのために、豆腐を買った。

冷奴にして食べられると、思った。

ジャスコ内にある、食堂で、何かを食べていた、スタッフに、豆腐を買ったと、言うと、醤油が無いよと、言われた。

そっか、醤油ねーーーー

 

私は、また、売り場に戻って、醤油を探した。

 

また、店員に、ジャパニーズ醤油と言って、探して貰った。

ようやく、日本の醤油の、棚に。

でも、私は、タイで、日本の醤油を作って、成功した人を知っている。

 

ノーノー

メイドインタイランド ジャパニーズ醤油

 

店員が、困った。

タイランドの醤油・・・・

 

日本の醤油より、半額程度で、買える。

 

そして、店員と、二人で、歩いて、私が見つけた。

これこれ、これが、タイランドで作っている醤油と、私は、誇らしげに、店員に見せた。

 

値段は、日本のものの、半額以下である。

 

タイの人は、長時間労働だから、そんなに、キビキビしていない。

キビキビしていたら、倒れる。

それで、のんびりと、仕事をする。

それが、日本人には、怠慢に見える。

 

ちなみに、12時間労働は、当たり前である。

そんなことを、日本でやれば、労働基準局に、言われるだろう。

 

喧しい、日本人が、また、来たと、思われたと、思う。

店内を、駆け回るのであるから。

 

値札のついていない物の、値段を特に知りたがる奴ということに、なったのではないかと、思える。

 

それに、タイ語が、出来ない。

それで、店員たちは、私に、指で、値段を示すようになった。

手話のようである。

 

すいませーん、これ、いくら

相手は、手のひらで、はいと、示す。

オッケー

 

もう少し通うと、日本語と、タイ語で、会話が、成立するようになると、思った。

 

高級ハム売りのおばさんと、話した。

なんとかこんとか

そう

それで、なんとかこんとか

ここまま、食べれれば、いいの

食べる真似をすると、頷く。

 

干し果物の、おばさんは、私に、どれが、何の果物か、教える。

その、実物を取り出す。

試食をくれる。

オッケー

 

あまりに、量が多くて、いつも、選べないで、帰る。

 

ジャスコは、楽しい。

 

その帰り道に、茹でとうきびを、買う。10バーツ。

二度目から、覚えられて、そこでも、指で会話する。

 

道を売り歩く人からは、その時、買わなければ、次は、いつになるのか、分からないと、知った。

 

アイスクリーム一つ、10バーツである。

ベルを鳴らして、歩く。

その音を、聞いたら、外に飛び出す。

 

一度、焼きとうきびと、イカを焼いてもらった。

おじさんは、時間がかかるよと、言い、私の物を、焼き始めた。

後で、取りに来ると言って、忘れていた。

思い出して、行ってみると、おじさんは、随分と、待っていてくれた。

料金を払ったのだから、そのまま、行くへをくらましても、いいのに。

そして、丁度良く、焼けているよと、言う。

それが、何とも、タイ人の優雅さである。

 

バンコクの日々は、そうして、過ごした。