レイテ慰霊 第8話
私が通ってきた道に、その小屋があった。
まさか、食堂とは、思わなかった。
店の前に、おかずが、並べられている。
三種類だけである。
皆に、それを、選ばせた。
私は、春雨のおかずを、選んだ。ライスは、いらないと言った。
子供たちは、チキンスープを選んだ。
チキンの足が一つ入り、スープが一杯である。
ライスが、山盛り。
その、ライスに、スープを掛けて食べる。
ライスで腹を満たすというようなもの。
皆、真剣に食べている。
腹が空いていたのだろう。
ジョジョも、私の隣で食べた。彼だけは、一人で、何やら会話する。
17歳の子が、水を取りに立った。
戻ると、ジョジョが、自分のスープを、17歳の子に、上げている。
私は、支払いをした。
155ペソ。300円程度である。
兎に角、17歳の子が、私に、何度も礼を言う。
私が、明日帰るというのは、ジョジョしか、知らない。
さようなら、と、別れると、他の子供たちは、また、明日という。
スィユー ツゥモロである。
ジョジョは、何もいわないで、バイバイである。
私が、外に出る時、ジョジョが、来て、タバコを二本欲しいというので、二本渡した。
バイと、こどもらしくない、言い方である。
ストリートチルドレンにも、二種類いて、子供時代を過ごすタイプと、すでに、大人と同じ気持ちで、過ごす子供たちがいる。
本当は、子供は、子供時代をしっかりと、過ごして、成長するのが、いい。しかし、ここでは、それが、ままならない場合もある。
複雑な気持ちで、ホテルに戻った。
部屋に戻って、少し休んだ。
昼の食事は、ホテルの下のレストランで、食べることにする。
もう、どこにも、行きたくないのだ。
今日は、一日、休むと、決めた。
そして、マッサージを受けようと思った。
ああ、マッサージである。
私は、ホテルの、ドアマンに、尋ねた。
マッサージの店は、近くにあるのかと。
すると、ドアマンは、ホテルの並びの、マッサージ店に、連れて行ってくれた。
一時間、500ペソである。
30分後に、来ると、予約して、再度出掛けた。
小太りのおばさんが、担当だった。
狭い個室に入り、全裸になり、タオルをかける。
背中から、オイルマッサージである。
それから、大変だった。
仰向けにされて、タオルを取られる。
そして、言われた、セックスは、3000ペソだと。
そのやり取りは、省略するが、おばさんは、500ペソは、店主のもので、私は、セックスをしなければ、収入は無いというのである。
17,18歳の子供が二人いて、学校にやり、生活をするために、これしか、方法が無いというのである。
おばさんは、私が断ると、1500ペソまで、ダウンした。
しかし、私は言った。解った。チップを1000ペソ上げます。私は、疲れていて、そのために、マッサージを受けに来た。ですから、最後まで、マッサージをしてください。
チップを、1000ペソと、言って、ようやく、おばさんは、納得してくれた。
そういうことである。
つまり、搾取されるのである。
貧しい人は、すべて、搾取されている。
おばさんが、コンドームを振り回して、私を、説得する様は、滑稽であり、悲しかった。
その、やり取りを書いても、吉本の、お笑いになる。
しかし、それを書く、気力を失う。
私は、職がなければ、体を売れと、書いたことがあるが、体を売るにも、大変なことである。
その姿に、笑いそうになり、そして、泣きそうになった、私である。
生きる、生活するという、厳しさを、私は、改めて、おばさんから、教えられた。
下の男の子は、エンジニアを目指して、勉強していると、言う。そして、母親は、それを、支えるために、体を売る。
体を売る以外に、方法が、いくらでもあるというのは、見ていないからである。
見なければ、解らない。
聞いてみなければ、解らないこと、だらけである。
フィリピンは、島々の国である。
日本も、島国といわれる。
何故、日本は、これほど、豊かになったのか・・・
何故、日本と言う、小さな国が、世界の経済大国と、言われるようになったのか・・・
何故、日本が・・・
それを、知るたるめに、世界に、出て、見るべきである、若者は。
必然は無い。偶然も無い。日本は、太陽の国だから、としか、言いようが無い。
|
|