木村天山旅日記

  マニラの悲劇・衣服支援

  平成21年9月 

 

マニラの悲劇・衣服支援 第7話

あと、一泊して、マニラを去る。帰国する。

 

今日は、空港近くのホテルに移る。といっても、何も、決めていない。行き当たりばったりである。

 

朝、八時頃に、ゲストハウスの玄関横にある、レストランで、コーヒーを頼む。

外で、飲む。中では、タバコが、吸えないからだ。

 

その後で、インターネットカフェに行くつもりのである。

朝の食事は、していない。

食べたくない時は、食べない。

 

少しして、日本語で、話し掛けられた。

日本の人

そう

座っていい

私の前に、座った。そして、

タバコ貰っていい

いいよ

 

タバコを差し出した。

彼女は、タバコに火を点けて、静かに、吸った。

 

私は、この、女を買うことになった。

 

私を見て、汗かいてるでしょう

うん

歩いていたの

そう

寝てないし

 

シャワー浴びさせて欲しい

いいよ

 

私は、インターネットカフェに行く予定を、少し延ばして、彼女のために、部屋に戻ることにした。

 

彼女に関して得た情報は、まず、年は22歳である。

12歳の時に、名古屋の、とある外食産業の社長に、買われた。

そして、五年間、名古屋で過ごす。

つまり、愛人契約である。まさに、少女売春である。

何も、せずに、よい生活をしていたというが、性を売っていたのである。

 

セブ島生まれである。

17歳で、マニラに戻った。日本から、セブ島に、帰らず、である。

部屋も、持った、車も買った、バイクも持ったという。

 

しかし、すべてを失った。

フィリピン人に、騙されたの、である。

つまり、男に、騙されて、すべてを、失った。

残ったのは、二歳になる、女の子である。

セブ島の、親の元に、預けている。

 

部屋に入り、シャワーを使い、私は、インターネットカフェに行くので、ベッドで、寝てもいいと、言った。

そして、鍵を持って、出た。

 

一階に下りて、ホテルを出る時、ガードマンのおじさんが、私に言う。

あの、女は、誰か。部屋に入れて、大丈夫か。物を盗まれる。

片言の日本語である。

ああ、大丈夫です。

 

私は、すべての、貴重品を、持参して、行動していた。

部屋には、コンビニ、スーパーなどの、ポリ袋などしかない。

後は、私の着物である。

 

おじさんは、注意してと、言う。

オッケーと答えて、インターネットカフェに、向かった。

 

40分程度、カフェにいた。

そして、部屋に戻る。

 

彼女は、ベッドで、寝ていた。

髪を洗ったようで、濡れている。

私は、起こさないように、静かにしていた。

 

狭い部屋なので、何となく、居心地が悪い。

 

タバコを吹かしていると、彼女が、目覚めた。

 

何か、誰かに、言われたかと、尋く。

言われたよ、盗まれるって

やっぱり。私は、人の物を盗んだことないよ、でも、盗むと、言われる

そう

そうなの。私の友達が、一度盗んでから、私も、盗むと、言われるの

 

彼女は、よく解らない日本語で、いろいろと、喋った。

私は、黙って聞いていた。

 

いつ、帰るの

明日

えっ、明日・・・

そう

 

私は、今日も寝るところがないの

ホテル移るけど、そこで、寝ていいよ。ツーベッドルームを頼むから

本当、嬉しい。今日は、ラッキー

 

そして、彼女が言う。

一緒にいるから、1500ペソのくれる

いいよ

 

先の話から、私は、彼女に同情していた。

3000円である。

 

子供のために、セブ島の親に、仕送りしている。

住む場所も無くして、毎晩、飲み屋で、夜を過ごす。

 

だが、その話が、どこまで、本当か、嘘かと、私は、考えていた。

 

しかし、その話が、嘘ではないことを、彼女の体を見て、知った。

 

その合間の、話は、省略する。

 

ただ、私は、彼女に言った。

私は、ジャニーズ、スピリチュアル、マジシャンであると。

つまり、霊能力者であると。

 

それは、彼女に対する、牽制である。

嘘は、つけないということを、示した。

 

すると、彼女の態度が、変わった。

私を、先生と、呼ぶのだ。

 

先生、私・・・

 

そして、話し始めた。