木村天山によるメールマガジン 21世紀の成功哲学 バックナンバー 成功の条件 No3

 成功哲学3

 過去を知る者は、未来を知る。

 自分の過去、つまり自分史を知ることによって、未来が見えてくる。つまり、自分の過去からの線が、未来へつながっているからだ。過去は、未来の種である。

 ブッダも因果の法則を観た一人だ。因という種があって、その結果の果がある。

 自分にとっての因とは、過去であり、未来は果である。

 自分が何を感じ、何を考えて、何を行動してきたのか。それが種であるから、その種をじっくりと、反芻する。

 そして、次の段階である。

 その種を、どこへ運ぶのか。運を変えられるとしたら、この段階である。何を次ぎに選ぶのか。そして、選んだ時に、それを続ける、成し得る力を、どこから得るのか。

 成し得る力、つまり、自分の哲学である。

 哲学とは、何も難しいことではない。哲学とは、自分を生かすための、言葉の世界、つまり精神のことである。

 理論武装ということではないあなた自身の言葉の世界であり、人に語ることではない。勿論、人に語ってもいいが。しかし、語るには早すぎるはずである。

 過去を自分の言葉で綴ることは、自分の精神を見つめるということである。

 過去である自分史は、自分の中にある。これが、ポイントである。自分を棚に上げることなく、冷静に自分と向き合うこと。その時、自分に誇れるものがなくても、気にしないことである。

 何も価値のあることなどしてこなかったという、自分に対する否定的な感情を、持たないことである。今の自分は過去から流れてきているのであるから、それを否定することはない。つまり、次の段階が大切なのであり、どんなに大きな後悔をしても、それを越えられるというのが、未来への力なのである。それを未来力と言う。

 しかし、中には、自己否定に陥ってしまう人もいるだろう。

 何一つ、種になるようなことを蒔いてこなかったとか、何も残っていないとか。

 だが、挫けずに、過去を見つめ続けることである。

 そこには必ず、人の縁により、多くの励ましと、チャンスを得たことを思い起こすはずである。それも無いというならば、あなたが今まで生きてきたということの価値、生きる意味意識を、そこに見いだすはずである。

 子供の頃の両親との関係や、兄弟、姉妹との関係、祖父母との関係、友人や知人の関係と、多くの人の縁によって支えられ、生かされていきた経緯があるはずである。

 もし、深く憎んだり、恨んだりするような現実・事実があっても、それを深く黙想することである。それは再度、思い起こすから、不快で、苦しい思いに陥るであろうが、それを越えるために反芻するのである。

 恨みや憎みが、次第に、あなたの精神を作る種になるはずである。

 それはマイナスエネルギーではあるが、それをバネにすることは、いくらにでも可能である。恨みや憎みを通り越した時に得られる、静かな心境を経験することである。

 人は、完成している者ではない。人から受けたことは、あなたも人に、していたのかもしれない。あなたを恨んでいる人もいるだろう。人生は振り子の法則であることを知るべきである。一方が勝てば、一方は負ける。負けた者が勝った者を恨むことはない。その土俵をいつまでも、持ち続けることはない。土俵を変えるのである。

 そうあなたに合った土俵を見いだすことである。そのための過去を振り返る行為が、何より大切なのである。