木村天山によるメールマガジン 21世紀の成功哲学 バックナンバー 成功の条件 

 成功哲学4

 過去を振り返った時に、あることに気づくはずである。一番、自分が充実していた時間が、どんな時かを。それは、やりたいことをやった時である。

 やりたいことをやった時の結果よりも、その過程が、どんなに楽しかったのか。それを思い出すことである。そこに成功の鍵がある。

 これは、成功哲学であり、成功するためのノウハウではない。そこで、はっきりと言う。成功することは、人生であり得ないと。

 人は、成功し続けるのであり、成功するのではない。

 富と名声を得たことを成功と呼ぶなら、それはそれで結構だが、私の言う成功とは、全く異質のものである。

 私が言う成功とは、自己認識の、自己実現のことであり、それは、富や名声と言う、世の中や、人からの評価ではない。それを求めるならば、即刻、このエッセイを読まないことである。

 富や名声を得ても、死んでしまえば、終わりである。

 富を持つことを成功というならば、宝くじに当たったことも成功になる。そんな程度の成功を、私は言うのではない。世の中の成功物語りは、稚拙であり、こちらが恥ずかしくなるような、お話しが多い。

 私が言う成功とは、端的に言って、本当の自分に出会うことである。

 その一番早い方法が、やりたいことをやることなのである。

 自分が欲するものに、自分が向かう時、自分のまだ知らない自分に向かっているのである。自分のまだ知らない自分を見る、それが成功の第一段階である。

 世の中には、あまりにも、稚拙な成功法が幅を利かせていて、稚拙な人は、成功のなんたるかを知らずに、成功を求めている様である。

 株式の成功法、パチスロの成功法、女ゲットの成功法等々、それは単なる、欲望充実であり、それを成功と呼んでいる程度である。株式で勝ち、成功するということは、単に株式で利益を得るということであり、何ら、成功哲学とは関係ない。

 そういう成功法は、根のない、切り花のようである。すぐに枯れる。

 私の言う成功は、自分の過去を包容し、未来に生きる人生力のことである。

 あらゆる出来事を、内的必然と感得し、人生を深く味わうための成功である。

 私のプロデュースする声楽家は、大手企業を辞めて、どうしても声楽家になりたいと、一大決心をした。30を過ぎていた。大手企業の出世コースを歩んでいた彼を、単純で稚拙な成功法を信奉する人には、成功を捨てたように思うだろう。何故なら、大手企業にいて、出世すれば、お金、名誉、地位を得られるからである。それを、成功することと感じなかったのである。そして、それは、成功である。自分の道を見いだしたのであるから。 しかし、世の中の「成功する」ということとは裏腹に、声楽家を目指したことにより、大変な労苦を得た。

 その、労苦こそ、私が言う成功哲学である。

 大手企業で安穏していた精神が、自分の欲する道を歩み出すと、目覚めたのである。

 それは、生きるということと同じである。初めて、生きるということに目覚めた。

 それは成功である。

 やりたいことをやる、ここに、秘密がある。やりたいことは、自分が求めていることであり、それは自分を理解し、知るための最も早い道であるから。

 生きるということは、自分と逢うということである。

 生きるということは、本当の自分を得るということである。