木村天山  日々徒然 バックナンバー  

 日々徒然62

 空虚な日本の権威主義には、辟易する。それは、どんな分野の世界にも、蔓延しているようである。そして悪いことには、そこからの出口が見えず、長い物に巻かれる状態で、安穏としている面々である。

 ギタリストがいる。アメリカ、ニューヨーク、ニューオリンズ等で活躍している。日本で演奏すると、必ず、どこの派閥なのか、賞を取っているのか等々、演奏と関係のないことを尋ねられる。要するに、日本人は、演奏を聴くのではなく、肩書やプロフィールを聴くのである。

 アメリカが良いというのではないが、芸術活動に関しては、自由の国アメリカの良さが理解出来る。アメリカでは、権威に関係なく、人は、好きな音楽を聴く。それが、一年やっていようと、10年やっていようと、関係ない。自分の好きなものであることが、重要なのである。

 日本はマスコミ中毒になっていて、マスコミが取り上げるものを、よしとする風潮がある。マスコミに取り上げられないものは、価値がないといった極端な反応もある。

 NHKが作る、お涙頂戴形式のドキュメント番組に取り上げられると、いきなり、億万長者になる。本当は、貧しく控え目だった芸術家が、NHKに取り入れられると、番組で作ったイメージがなくなってしまっても、人が集うという不思議な現象を起こす。

 また、障害者が何かをすると、障害者用フアンというものがいるのか、早速、その芸の上手下手に関わらず、良いものだと思い込む単純さである。

 マスコミが宣伝するものと、障害者の芸術が良いものだと信じる、アホな国民が多いというのが、私の感想である。そして、机上の空虚な権威である。

 もう一つ加えて、未だに外人コンプレックス、特に白人に対してのものであろうか、白人がするものは良いと思い込んでいる連中である。コンサート会場の主催公演などを見ていると、海外からの招聘オーケストラなどを主にして、公演を埋める地方の馬鹿者共が多い。あれは、一体、何を考えているのかと、首を傾げてしまう。

 地元の芸術家は、劣っているという先入観があるのか、地元の芸術家を起用せずに、海外から招聘して、赤字でも、大手を振って興行するという愚である。それは皆、公金なのである。不思議だ。

 こうである。こうでなければならない。そういう枠組みを作り、安住する様は、一体、どこから始まったのか。自己保身の何物でもない。

 新しいものを生もうとする若者の芽を刈り取る愚である。自分たちの器に入り切らないものは、異端、そして非難中傷する。

 再生は破壊から始まる。私は、それを実行する者である。

 新しい方法を取り入れて、刷新する心意気である。とりあえず、それを音楽界と美術界で行う。

 机上の権威は、崩れると早い。古い者は滅びるのである。