みたび日々徒然 107

木村天山   

 

 パキスタン地震で2万人の死者が出た。これからもっと数が多くなるだろう。昨年末のインド洋大津波の支援が本格化していた矢先のことである。

 この前には、アメリカでのハリケーンの被害の大きさに驚いた。

 パキスタン地震の裏では、グアテマラでのハリケーンで、1400人が生き埋めになったという記事もある。

 こうして続けて起こる自然災害に、人間は成す術もない。

 被害の大きさに驚き、支援の輪を広げる国際社会。

 つい先日は、バリ島でテロがあり、40名の死者を出した。

 こうした自然災害の意味を考えると、何か、自然が人間に「問いかけ」をしていると思われる。偶然を内的必然と捕らえることが、人生力だという言葉がある。そこに意味を見いだす行為を哲学とか思想と言う。生きた哲学であり、思想である。

 人類は協調して生きるべきであるとの、自然からのメッセージに私は感じられる。

 協調して生きるのが、21世紀のテーマであろう。協調は、共生であり共感である。

 共生や共感の具体的行為は、与え合うということに尽きる。所有するということから、いかに分配するかということ。これからの国際社会のテーマになるだろう。

 五千年程の人類のテーマは、いかに所有するかということであった。多くを持つことが、正しいと思われた。そのために戦い、他を排斥して、それが正しいとされた。正義とも言われた。その端的な例がテロ行為である。他を排斥して混乱させ、聖戦と称して正義と信じ込んでいる。勿論、テロ行為に至らしめる問題も多い。

 しかし、この自然災害の大きさから、学ぶことは、今までの価値観では、世界は進まないということである。理想を言うのでない。現実問題の解決のためには、世界は和をもって行為しなければならないということを明確にする。

 民族や思想を超えて、協調する、共生する、共感するという生き方が求められている。為政者は、それを実現しなければならない。

 国益が、世界のためになることであるという真実を、尋ね求める為政者が必要である。国際問題は、複雑怪奇である。中には、魔界直結の国もある。正義というものも、国の数だけある。それを統一する統合するということではない。

 国の数だけある国益に、世界を主にする思想が加味されれば良い。そのためには、新しい言葉が必要であろう。

 話し合いという行為を、諦めずに続ける。世界のためにというテーマを絶えず提示する。話し合いの根幹は、世界のためである。それが、国益に沿うことになるという。これは単なる理想であろうか。

 世界のために考えることが、国益にもなるという時代を創ることが、これからの国際社会のテーマであろう。

 時代は進化する。進化させるのは人間の英知である。

 自然の大元である地球が進化している。その進化に沿うことである。

 宇宙は、いつも進化している。五千年前の人類より、現在の人類は進化している。地球人としての生き方を、本格的に考える時にある。それを自然が伝えていると考える。これ程多くの犠牲のうえに、このことを考えるのは不幸であるが、現実が、それを突き付けているのである。私は、そう考える。

TOP PAGE   各種エッセイ目次  みたび日々徒然 目次