木村天山旅日記

  モンテンルパ

  平成21年9月 

 

レイテ慰霊 第1話

レイテ島には、フィリピンの国内線、セブ・パシフィックに乗って、一時間と少しである。

 

当日は、満席だった。

同じ顔の写真のTシャツを着た人たちが、50名ほどいた。

誰なのか、解らない。

ただ、イスラム系の人たちである。

 

私は、搭乗手続きの、30分前に国内線乗り場に、着いていた。

 

国際線と、同じく、二時間前と、言われたからだ。

 

ホテルから、タクシーで、125ペソ。

チップは、無視して、上げなかった。

運転者は、不思議な顔をして、少し停車していたが、無視した。

 

セブ・パシフィックの社員たちは、親切だった。

初めての、空港で、よく解らないのである。

トイレも、乗り場も、人に尋ねた。

 

言葉は、解らないが、場所を尋ねると、世界共通で、指差して、教えてくれる。その指先を、見るのである。

その、方向へ、歩いてゆく。

また、解らなくなれば、人に尋ね、繰り返していると、目指す場所に行く。

 

すべてが、この調子である。

 

搭乗手続きをして、時間があるので、搭乗口に向かわず、二階のレストランに上がった。

 

餌のような、食べ物ばかりである。

アメリカン式の店。

 

よく解らないが、朝ごはんとして、ご飯を食べたかったので、写真のナンバーを言って、注文した。

 

ところが、出てきたものは、ラーメンに似たものである。

何が、違ったのか、解らない。しかし、しょうがない。食べた。

不味い。

ただ、しょうゆ味系が、フィリピンの味なので、食べられることは、食べられる。

 

持参していた、パンを取り出して、食べた。

更に、ハムも。

私は、捨てないので、持参して、歩く。

未だに、マニラで買った、みかん一つが、部屋にある。

勿論、禁止行為である。

 

腐ったと、確信するまで、持ち続けるのである。

 

さて、搭乗口に向かった。

大勢の人である。

 

前と後ろに、搭乗口があり、どちらなのか、解らない。

私は、いつも、一番最後に乗る、癖がある。

国際線では、決められた席に座ることは、ない。

 

搭乗時間が来たが、前後のどちらか、解らないので、待っていた。

 

さて、どちらか。

両方から、人が出て行く。

 

だいたい、見当がついて、乗り込むことにした。

チケットを見せると、大丈夫である。

 

今回は、満席であり、決められた席に向かう。

窓側である。

アーー嫌だ。

 

すでに、二人が座っていた。つまり、その二人を、立たせなければならないので、詰めて、座るように、促した。

おばあさんと、隣が、若い女性である。

二人とも、言うとおりにしてくれた。

通路側に、座る。

 

そして、寝た。

 

途中で、飲み物サービスがあり、目覚めた。

私は、マンゴージュースを頼んだ。

すると、50ペソと、言われた。

あらっ、そうだった。

サービスではないのだ。販売なのだった。

しょうがなく、50ペソを払う。

 

それを、飲み終わる頃、到着である。

 

そして、空港に降りた。

飛行機から、歩く。

寂れた空港である。

 

荷物を受け取り、空港から、出るまでの時間が、異常に長かった。すべて、人の手でするのだ。

 

ようやく、空港から出て、さて、乗り物である。

ホテルは、決めてあったので、ジプニーに乗ることにした。

 

信じられない行為のようである。

当然、タクシーに乗ると、思っている人々。

 

タクシー、タクシーと、私に声を掛けるが、無視する。

ジプニーを探す。

荷物を車の上に、積んでいる、ジプニーがあった。それに乗った。

 

ぎゅうぎゅう詰めである。

私の座る場所を、少し空けてくれた。

 

勿論、暑いから、汗が出る。

 

行き先は、知らない。でも、街には、行くだろうと、乗ったのだ。

矢張り、街に向かう。

 

一人、一人と、好きな場所で、降りる。

 

次第に、賑やかな、街中に入る。

どんどんと、人が降りる。

 

最後は、数名が、残った。

ところで、私の行き先は・・・

車の助手である、男の子が、声を掛けてくれた。

 

ホテルの名前が、出てこない。

だが、ホテルの近くに、大きなスーパーがあったので、ビッグスーパー、ニァと、言った。

 

えっ

他の客も、えっ、である。

ビッグスーパーと、皆が言う。

 

おばさんが、ロビンソンよと、言うように、聞こえた。

しかし、ロビンソンは、マニラである。

いや、アジアスーパーだろうと、男が言うように聞こえた。

 

皆が、議論した。

車は、走っている。

一度、一人降りるので、止まった時、私は、バッグを、男の子に下ろして、貰った。そして、バッグを開けて、ホテルの名前を探した。

Rホテルと、言うと、一人の男が、それを、運転手に伝えてくれた。

 

そのホテルは、街中にあり、丁度通り道だった。良かった。

 

50ペソ、100円を払い、無事に、ホテル前に到着である。

 

無謀と、言う無かれ、それなら、私の単独行動は、すべて、無謀である。

 

怖いものは、無い。

幽霊が、怖いのである。

ところが、そのホテル、幽霊ホテルだった。

私の部屋に、それが、いた。