木村天山旅日記

  モンテンルパ

  平成21年9月 

 

第3話

ホテルの隣が、コンビニである。そして、何と、その横に、更にスーパーが、出来ていた。

私の大好きなスーパーである。

これで、部屋でも、食事が出来るという状態である。

 

私の最初にするべきことは、支援と、慰霊のガイドを探すことである。

特に支援物資は、一人では、大変である。助手が、必要。

 

そこで、まず、ベッドメークの、ボーイと、話してみた。

新しいボーイさんで、24歳。

可愛らしい顔をしている。

 

色々、片言英語で、話して、解ったことは、一ヶ月働いて、8000ペソから、一万ペソ、つまり、16000円から、二万円である。

彼女がいる。

ぎりぎりの、生活であるから、彼女と、一緒に暮らしていると、察した。

 

実は、と、私は、支援の話をした。

ガイドを探していると言った。

そして、トンドエリアに、行きたいと言った。

彼は、それに関して、実に無関心だった。というより、トンド地区と、聞いて、ノーと、思ったと、後で、解る。

 

トンド地区は、地元の人も、敬遠する場所である。

 

仕事が終わるのは、何時と尋ねても、曖昧だった。

ああ、これは、駄目だと、思った。

 

冗談で言っていた、売春婦・・・

実は、ホテル前の、売春斡旋の店で、前回、食事をしている。

おじさんに、誘われて、カレーがあると、店に引っ張られた。

 

翌日、昼過ぎに、店に出向いた。

マネージャーが、私を覚えていた。

すぐに、おばさんが、出てきた。

 

彼女に、スタッフが、日本のマフラーをプレゼントした。

要するに、元締めである。

 

私は、支援の説明をした。

すると、女の子が、集まって来た。

 

その中に、トンド地区から出てきた女の子が、二人いるという。

更に、モンテンルパにも、行きたいと話した。

二日必要である。

 

一人の女の子が、日本語が少し出来ると、言う。そして、トンド地区の出である。

その子を、私の横に座らせた。

 

一日、2000ペソで、二日なら、4000ペソ、8000円である。

売春と同じ料金である。

二日間、彼女をどのように、使用してもいい。

 

私は、日本語が出来るのが、魅力だった。

それに、ハキハキとして、元気である。

更に、子持ちだった。

 

ホテルの部屋に来てもらい、支援の打ち合わせをする。

荷物を見せて、何があるのかを、知ってもらい、私は、彼女の、やるべきことを、説明した。

 

以前は、スーパーの店員をしていて、月、4000ペソ、8000円の収入で、お姉さんの収入と合わせても、やってゆけず、ここに勤めたという。

でも、この仕事も、12月で、辞めるという。

 

現場で、男女別に、人々を分けて欲しい。そして、あなたは、私が、衣服を渡している写真を撮る。

人が、混乱しないように、指導して欲しいと。

 

そして、彼女には、部屋に泊まらなくてもいいと、告げた。

あくまでも、ガイドを御願いした。

 

この、話は、後で、支援の段で、書くので、今は、省略する。

 

まず、モンテンルパ行きである。

 

これが、予想に反してしまったのである。

 

まず、彼女は、店の社長の車を、チャーターするということになっていた。

2500ペソで、行くことにした。

 

モンテンルパには、彼女のおばさんが住んでいて、日本人の慰霊地に、愛内することにしてもらった。

 

翌日の朝、11時出発である。

 

その朝、私は、六時に外に散歩に出た。

そして、ホテルに戻ると、一人の男が、近づいて来て、今日は、モンテンルパですねと、言う。

そうです。

私は、その男が、運転手だと、思い込んだ。

コンビニで、コーヒーを買っていると、その男も、入って来たので、私は、彼の分も、コーヒーを注文した。

 

外に出て、コーヒーを飲んでいると、彼が、ここから、20分ほどのところに、日本人の墓があるよ、という。もう、誰も、行かないところだよと、言う。

そして、私に、行きましょうと、誘う。

 

いやーー、すぐは、一寸・・・

20分ですから

そう、じゃあ、準備をするから、10分待っててください

 

私は、墓に行くために、日の丸と、御幣を作るために、準備していたものを、急いで、袋に入れて、ホテルの前に、出た。

 

何と、日本人の墓というのは、キリシタン大名で有名な、高山右近だった。

立派な、銅像が建っている。

 

彼は、キリシタンの信仰を続けるべく、幕府に、ルソン行きを願い出る。

しばし、天草の、有明海の、小島に、謹慎蟄居していた。

 

実は、その島が、天草四郎で、有名な、天草島原の乱の時の、一揆計画の場所だった。

 

彼は、そこから、ルソンに出向くことが出来た。

彼については、この日記の趣旨ではないので、省略する。