朝、九時半を過ぎたので、早めに空港へ向かうことにする。
一時間半の飛行時間でも、出国するのである。
二時間前までに、行くこと。
更に、何があるか解らないので、早めに向かう。
タクシーの交渉である。
小西さんから、タクシー運転手が、本当にキレると、必ず殺すという話を聞いた。
車内に、銃を隠し置いているという。
あらあら、それでは、喧嘩は出来ない。残念。
ということで、タクシーを捕まえて、合掌して、サワディーカップと、笑顔で、近づき、英語で、スワナプーム、エアポートターミナルと言って見た。
ハウマッチ。
400バーツである。いいじゃない。500バーツと、言われるかと思った。
勿論、高速料金すべて、含めてである。
一度、カオサンから乗り込んだタクシーは、500バーツで、すべて含むと言ったが、高速料金のたびに、請求し、更に、チップまで、要求してきた者もいる。
また、逆に、突然、捕まえた、タクシーは、300バーツで、高速を通らず、猛スピードで、走った若者がいた。
スタッフ曰く。きっと、暴走族だったんだ、と。
今回の運転手さんとは、和やかに過ごした。ゆったりとした、タイ語で語り掛ける。そして、今度来る時は、呼んで下さいと、名刺を渡された。
実は、今回の旅は、細かなところで、色々と、人の心の機微に触れ、更に、旅が楽しいものになっていた。
こういう、言い方をする。何かに、守られているようである。
怒り心頭ということが、無いのである。
ベトナムの一件を別にしては。
早めについてみると、まだ、受付が、始まっていない。
私は、このスワナプーム空港が、大好きである。
一階に下りる。
大食堂に行く。
旅行客もいるが、矢張り、職員が多い。
入り口で、100バーツ分のチケットを買う。余ると、現金に戻してくれる。
いたいた、私たち二人は、無愛想な女がいることを、確認。
混雑時は、三人の女が、チケット販売にいる。
その女は、真ん中にいた。
スタッフは、その女が嫌いである。あまりの、無愛想にである。
ニコリともしない。
お金を、受け取ると、投げつけるように、チケットを出す。
とっとと、行けという、雰囲気。
しかし、私は、それが、楽しい。
真ん中の女に、お金を出すように、右の女に、差し出した。
どうだ。
こんなことで、意気がっても、しょうがない。
ところが、楽しいのである。
さて、チャーハンを頼む。
安くて、大盛りである。側にある、野菜は、取り放題である。
野中が、それを大量に取る。自分は、食べないので、野菜だけにするつもりだ。
そして、私は、チキンが食べたくて、チキンを指差した。
店員は、笑顔で、チキンを目の前で、パンパンと、切ってくれる。と、更に、ご飯も、盛り付けた。アッ、それは、いらない。と、思っても、言葉が出ない。
一人前が、出て来た。スープもついた。
これは、食べ切れない分量である。
全部で、80バーツ。約270円。
頑張って食べた。一生懸命に、食べた。
野中は、バリバリと、生野菜を食べている。
食べ終えて、残りのチケットを、返金してもらう。
最初から、現金にすれば、いいのにと、いつも、思う。
搭乗手続き開始の、表示が、点滅している。
四階まで、エレベーターで、上がる。
ベトナム航空に進む。
支援物資が、無いので、実に、楽チンである。
出国手続きも、問題無し。
必ず、立ち寄る、アイスクリームを食べる店に寄る。
腹一杯だが、アイスクリームを注文する。
その時、ワンカップで、150バーツで、ツーカップで、300バーツである。
しかし、二つ分の、分量のカップでは、270バーツである。ということは、それを、注文し、それぞれ、一つを食べると、30バーツが、浮くことに、気づいた。
しかし、注文した後である。
次に来た時に、そうしょうと、話し合った。
話し合うようなことではないが、30バーツ得するということが、大問題なのである。
ところが、私は、立ち上がって、二つ頼んだでしょう。
これは、270バーツだから、二つで、270バーツは、駄目と、日本語で、言った。意味が通じたらしく、女は、憮然として、300バーツと、言う。
ああー
駄目、か。
食べていると、別の女の子が、笑顔で、私に挨拶する。
そうだ、二リットルのペットボトルに手をつけていない。次の手荷物検査では、水は、持って入れないと、彼女に、渡す。
コープクンカー。
もう、帰るの、またね。
日本語である。
しかし、意味が通じる。
その子に、手を振り、手荷物検査に進む。
アメリカの飛行機は、次も、検査がある。搭乗待合室に入る前である。
また、検査―――
テロが、本当に、怖いのである。
ベトナム航空は、国際線であるから、食事が出ることを、忘れていた。
あらら、また、食べることに。
まだ、時間があるので、別の待合室の、喫煙室に行く。
勝手知ったる、のである。
誰もいないはずが、職員が、たむろして、タバコをふかしていた。
皆、若い男たちである。
一人の、より、若い男に声を掛けた。
どこから、来たの。要するに、タイのどこの出身と、尋く。
ところが、英語が駄目である。
自分も、英語が出来ないのに、英語が話せるかと、尋く、私。
少しだけ。
それでは、あなたは、男が好きか、女が好きか。
これも、駄目。
野中に通訳を頼む。
しかし、ね。最初に、そんなこと、尋く、の。
いいから、尋いて。
女が好きだって。
残念。私の好みなのに。
野中が、愕然として、通訳しない。
彼は、ターミナルの、警備である。
しかし、そのように、見えない服装をしている。
きっと、エージェントなのだろう。でも、エージェントっていう、意味が、解らない。
特別警備役で、スーツで、警備をしているのであろう。
アラッ、普通の客も、入って来た。私のような人がいるのである。
広くて、大きい、スワナプーム国際空港は、私の好きな場所である。
この、スワナプームという言葉を、覚えるのに、実に時間がかかったのであるが。
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