木村天山旅日記

 バリ島 平成20年5月 

 第1話

今回、2008年5月のバリ島にての、旅を書くことにするが、今までとは、違った形で、書き始めることにする。

 

時間の順を追うものではなく、私が、感じたことから、書く事にした。

 

バリ島、ウブドゥ村、クトゥ地区に、テラハウスという、ゲストハウス、及び多目的ホールを要するハウスを建設し始めて、三度目のツアーである。

 

その旅の、日程は、格安ツアーを利用した。しかし、今回が、最後である。次からは、格安チケットを取り、ウブドゥに滞在することにした。

格安ツアーは、クタ、レギャン地区のホテルを利用する。

 

その、クタ、レギャン地区は、最低最悪の場所に、なっているのである。

バリ島の観光の拠点が、クタであり、レギャンだったこともあり、観光客目当ての、商売をする者、多く、その周辺に集った。

特に、ジャワから来た、ジャワ人、スマトラ人、そして、隣の島の、ロンボク人たちである。

 

更に、経営は、オーストラリア人、日本人、アメリカ人等である。大型ホテルは、外資系が多い。

 

彼らによって、バリ島の人、バリニーズに、大きな変化が、起こった。

 

兎に角、観光客から、金を巻き上げることである。

その、ターゲットにされたのは、特に、人の良い、日本人である。

欧米人は、はっきりと、意志を示すが、日本人は、曖昧である。そこを、突かれた。

 

両替から始まり、タクシーの望外な料金、更に、マッサージから、売春への誘いから、麻薬、インチキゲーム等々。

果ては、物売りである。

日本人は、しつこくされると、つい、買ってしまう。

 

そうして、10年以上が、経過した。

今、クタ、レギャン地区に行くのは、格安ツアーか、高級ホテルに泊まるツアーかの、どちらかである。

 

しかし、クタ、レギャン地区は、見る見る、衰亡してゆく。

更に、テロが、拍車をかけた。

 

一万ルピアで、移動出来る場所に、五万ルピアを要求するという、タクシー運転手など、ざらにいる。

 

日本円にすると、約、100円が、500円程度になるので、日本人は、トラブルを起こさず、支払う。しかし、これが、大きな問題であることに、人は気付かない。

つまり、あらゆる場面で、日本人は、言い値で、支払うというイメージを持たれるのである。

 

勿論、旅慣れた人は、そんなことにはならない。

しかし、短期のツアー客は、それでも、十分楽しむ。

 

今回、クタ、レギャン地区の衰退の様を見て、自業自得だというのは、簡単であるが、私が、行った、マッサージの38歳のマッサージ嬢は、一時間、私に、生活の苦しさを延々と、話し続けて、最後に、日本人は、沢山チップをくれるから、云々と、暗に、私に、多くのチップを要求した。

自分の取り分は、売り上げの一割であり、仕事、つまり、客がいなければ、お金にならないという。

 

二人の子供を抱えて、大変だと、嘆く。

 

リラックスのマッサージをしていて、そんな話を、一時間、聞かされていては、具合が、悪くなる。

 

それが、皆、自分たちが、蒔いた種だとは、知らないという、アホ振りである。

日本人と、同じように、アホが、多いというわけである。

 

実は、私は、帰国しても、声が嗄れている。

それは、タクシー運転手を、怒鳴り散らしたからだ。

 

その怒りは、そんなことをしていると、更に、クタやレギャンに、客が来なくなるということを、言いたかったのだ。

 

そして、矢張り、一緒に行った者も、タクシーの料金を、ふっかけられて、激怒していた。

勿論、私のグループであるから、徹底的に、戦った。

 

例えば、バリニーズだと、普通に、メーターで、走る。

また、ウブドゥ行きの配車を頼むと、相場で、対応するが、バリニーズ以外になると、料金が、倍になる。

理由は、ガソリンの値上がり云々という。

 

そして、日本人だと、押せば、払うと、思っている。

 

日本語が、少しできて、親切な者は、更に、悪い。

 

ジンバランという場所に行き、海鮮料理を食べに行くと、言うと、すぐに、タダで、車の手配をするという者がいた。

ある、レストランの店長である。

この店を、利用した人には、無料でいいんだと言うので、信じて、お願いする。

 

ところが、それは、単に送迎無料の大型店の車で、とんでもない、料金の店に連れて行かれる。その、売り上げから、彼に、一割程度が、入るという、仕組みである。

 

商売であるから、利益を上げるということは、十分に理解するが、あたかも、親切に装い、そのようなことをするということ、愚かである。

その場所に、行き、辺りを見回せば、結局、その手の心は、見抜かれる。

 

そうして、クタ、レギャン地区に客が、来なくなる。

 

私が、何を言いたいのかといえば、バリニーズ以外の人は、どうでもいいと思っている。

もし、あの、地区に客が、来なくなれば、一番困る、経済的に苦境に陥るのは、バリニーズなのである。

 

あの、地区で、働くバリニースの数は、膨大である。

彼らが、路頭に迷うことになるのを、憂いでいるのだ。

 

高級ホテルなどは、何も心配はない。

だが、高級ホテルに泊まる客は、街に、金を落とさないのである。

ホテルと、その系列の店や、マッサージ、エステなどで、十分に、バリ島を堪能している。

料金が高いので、サービスは、万全である。

 

問題は、中流以下のツアー、旅人のことである。

 

彼らは、次第に、ウブドゥなどに、集中する。

それで、ウブドゥが、潤えば、善しである。

 

今回、クタ、レギャン地区で、日本人の姿を見ることは、稀だった。ウブドゥの方が、多いのである。

 

真っ当に、商売をすることは、即利益を生むことはないが、長期的に、考えると、実に、大きな収入と、収穫を得るのである。

 

さて、クタの北に、新しく、出来た街、勿論、以前から町は、あったが、世界のゲイたちが、集う、街が出来つつある。

スミニャック地区である。

 

これは、10年前は、バリ島では、考えることが、出来ないことだった。

 

バリヒンドゥーでは、ゲイ、同性愛は、禁止されている。

しかし、世界の流れなのか、ゲイのパワーは、今、爆発寸前である。

 

最初は、オーストラリアのゲイたちが、主導だったが、今や、バリニーズ、ジャワ、スマトラと、インドネシア全土から、ゲイ、レディボーイの軍団が、押し寄せているのである。

 

バリ島以外は、イスラムが主であり、勿論、イスラムも、ゲイは禁止であるというより、罪である。死刑になる場合もある。しかし、今、バリ島にて、流れが、大きく変わろうとしている。

 

ただし、そのスミニャック地区の店は、夜の、10時から開店なので、私は、出掛けるのが、無理で、野中に、出掛けてもらい、その情報を得た。

 

イギリス経済の復興が、ゲイたらによって、成ったことは、知られていないが、サッチャー首相の時期から、ブレア首相になってから、イギリスは、見る見る間に、経済成長を遂げた。

それは、ゲイパワーなのである。

 

ピンクポンドと、言われるゲイの金が、イギリスの経済の息を吹き返した。

それを、少し紹介しつつ、スミニャックの街を見ることにする。