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ある物語 51 

ある物語

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論文集

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第五一話


横浜みなと未来のコンサート小ホールでの、リサイタルを開催した。
実に立派なホールである。
 
その際に、初めて、録音業者を入れた。
その録音業者との出会いを書く。
 
藤岡の師事していた先生から、CD録音と発売の提案がされた。
それは、藤岡に取っては、良いことだったが・・・
 
その料金が問題だった。
およそ、80万円である。
そして、藤岡には、100枚無料で渡されるという。
 
あの有名なカウンターテナーも、最初が、そうだったと言う。
そこで、私は考えた。
 
録音し、CDを作るのに、どれ位の予算が必要なのか・・・
全く、分からない世界である。
そこで、私が藤岡に少し返事を待ってもらった。
 
私がそれを、自分で調べてみようと思ったのだ。
と、その翌日、録音業者からの、売り込みの電話である。
何と、ピッタリ行くものかと、思った。
 
そこで、実はCDにしたい録音があるが、その製作の見積もりを出して欲しいと言った。業者は、すぐにFAXにて送ってくれた。
 
それを藤岡に見せた。
1000枚で、15万円程度である。
 
そして、ちなみに録音する場合の料金も、尋ねていた。
場所により、料金が変更するが、それほど大金ではない。
横浜なら、10万円以内で出来るのである。
 
そこで、決まりである。
 
早速、私は札幌リサイタルでの、リュートソングをCDにすることにした。
 
それが、最初のアルバムになる。
スピード感のある決定だった。
 
自分で出せるという、自信がついたのである。
 
横浜リサイタルは、今までのリサイタルの総まとめのようなコンサートである。
つまり、昨年一年間に続けていた、リサイタルのプログラムである。
 
それを、録音業者によって録音し、CDにする計画である。
 
小ホールは、400名ホールである。
だが、丁度良い客数で、録音をするには、適当だった。
響きが自然である。
 
その時、初めて私は、横浜高齢者人材センターに頼み、受付などのために三名を申し込んだ。
だが、すべて私一人が、動いていたようなものだった。
 
楽屋と、舞台裏、受付を行き来して対応した。
私の頭の中に、プログラムが入っていた。
 
そこでまた、多くの出会いがあった。
現在の、万葉歌手辻友子さんとの出会いも、それだった。
 
休憩時間に、辻さんから話し掛けられた。
藤岡さんは、指導もしていますか・・・
その時は、指導はしていなかった。
でも私は、最後に本人がご挨拶に出ますから、直接聞いてくださいと言った。
 
更に、もう一人の青年もいた。
是非、指導を受けたいと。
 
その日は、初めてアンケート用紙も用意していた。
それは、使用済みのチラシを半分にしたものである。
その裏側を使用した。
そんなことは、初めてだったと、辻さんが思い出話で言う。
 
新しいコンサートの印象を強く受けたらしい。
というより、私が素人だったからである。
 
手際よく、そして適当である。
もちろん、それで藤岡と何度も喧嘩をすることにもなったが・・・
 
と、ここまで書いて、コンサートの開催歴を見た。
何と、その前に、一月にホテルだけではなく、二つのコンサートがあった。
 
一つは、ゲスト出演のもの、そして、一つはリサイタルである。
オルガンによる、宗教曲のリサイタルを東京で、開催している。
 
こんなに、スケジュールをこなしていたのか・・・
 
更に、みなとみらいホールでの、リサイタルの前に、鎌倉で、北鎌倉の景観を後世に伝えるという主旨のテーマで、ハンノキのコンサートにもゲスト出演している。
 
なだいなだ氏という有名な方も、その立ち上げの一人であった。
 
思い出せば、藤岡のお母さんも、はじめて聴きにきたコンサートである。
私は、藤岡の付き添いであり、お母さんは、お客さんである。
 
お母さんは、藤岡の舞台を初めて、見たのである。
 
記憶が前後する。
何せ、10年以上も前のことである。
 
そういえば・・・
そんな連想的に思い出す。
 
つまり、藤岡は、随分と、そのレパトリーを持っていたということである。
いつの間に・・・
私も、知らなかった。
 


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